鍾繇と諸葛亮がまさかの秘密同盟!漢中で最後に笑うのはいったい誰だ?

2024年3月2日


 

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鍾繇(しょうよう)と木簡

 

 

つくづく思うことですが、魏の重臣、鍾繇(しょうよう)、あれほどに『正史三国志』において評価が高いのに、物語として編纂された『三国志演義』では馬超(ばちょう)馬岱(ばたい)のカマセ犬のような役割に終わっているのは何とも残念に感じます。鍾繇のことが好きな皆様、どうでしょう?

 

 

スキッパーキ(はてな)

 

 

 

彼ほどの名将を題材にすれば、三国志の歴史を大きく塗り替える程の壮大なイフ展開シナリオも考察可能と思いませんか?

 

え?

「鍾繇って誰だっけ?」

 

もしかして、彼のことを覚えていない人が多数派でしょうか?

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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鍾繇は「正史」では軍事にも内政にもオールマイティな存在感を示していた!

曹操のもとで才能を発揮する鍾繇(しょうよう) 

 

先走り、失礼しました!

まず「鍾繇って誰だっけ?」を、ちゃんと整理しますね!

 

馬超と羊

 

 

『三国志演義』およびそれをベースにした日本の多くの三国志物語を読んだ人なら、馬超と馬岱が曹操(そうそう)に対して挙兵をした時、守備隊の指揮官として登場しつつも、城を守り切れず逃げていった男、といえば、なんとなく思い出すかもしれません。

 

 

鍾会

 

いや、もっとわかりやすい立ち位置として、「蜀を滅亡させた鍾会のお父さん」といえば、なんとなく思い出すかもしれません。

 

 

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志(本)書類

 

 

ですがこの鍾繇、正史での評価はぜんぜん違うのです!

 

献帝を保護する曹操

 

 

・曹操に献帝(けんてい)を引き合わせ、献帝の保護者という立場を用意してやった立役者は鍾繇

・避難民の帰還や、流民の保護政策を通じて、董卓(とうたく)によって焼かれた洛陽(らくよう)を都市として急復興させたのは鍾繇

 

袁紹に追い詰められる曹操

 

・曹操が袁紹(えんしょう)の一族と戦っていた際、袁紹の呼びかけに応じて決起した西方の諸侯の進軍を漢中で防衛し、曹操本軍が背後を点かれる危機を食い止めたのは鍾繇

・晩年は「この時代の大人材の一人」と曹叡に言わしめ、絶大に信頼されていた

 

皇帝に就任した曹丕

 

 

このように、曹操、曹丕(そうひ)曹叡(そうえい)の三代に仕え、内政にも軍事にも優れた功績を残したのが鍾繇なのです。残念ながら『演義』では登場シーンが極端に少なく、ほぼ唯一の活躍が「馬超軍のやられ役」という印象なので、まことに勿体ない!

 

 

 

漢中の守りのキーパーソンだった鍾繇がもし孔明と出会っていたら?

ポイント解説をするYASHIRO様

 

ですが別の見方をすれば、「『演義』しか知らない三国志ファンには、まだ発見されていない」名将とも言えます。つまり、イフ展開や架空戦記で、まだ「いじられつくしていない」キャラなのかも!というわけで!今回、いじってみましょう!せっかく正史では「超有能」とされている鍾繇三国時代の根底を揺るがすほどのキーパーソンになるイフ展開が、あり得たか?

 

ひとつ、思いついたことがあります。

 

文臣の最高官位に登る鍾繇(しょうよう)

 

・鍾繇は漢中の守りをずっと任されていた

・しかし曹丕や曹叡の時代、彼が情熱をもって献策していた刑法改革案が、何度も突っぱねられるという不遇もあった

 

呉の諸将を論破する諸葛亮孔明(セリフなし)

 

 

そこで。諸葛亮孔明の北伐が始まる頃。漢中方面の事情に詳しいが、曹丕や曹叡時代に不遇も感じ始めていた晩年の鍾繇に、まさかの諸葛亮孔明本人が目をつけ、寝返りを呼びかける密使を送ったとしたら?

 

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北伐の真実に迫る

北伐

 

 

 

鍾会の性格を考えると可能性ゼロではない?鍾繇親子の蜀亡命計画!

自分は天才肌だと勘違いする鍾会

 

そういえば、鍾繇の息子の鍾会(しょうかい)は、史実では諸葛亮孔明亡き後の蜀を攻め滅ぼした物ですが、その後、魏に対してイチかバチかの反乱を仕掛けた人物でもあります。

 

独立したくウズウズする鍾会

 

この野心に満ちた鍾会が息子として成人しているとなると、

 

孔明の息子たち

 

・諸葛亮孔明が、蜀における重要ポジションを餌に、まず鍾会に働きかける

・鍾会が「魏の中で老い朽ちるより、孔明と組んで暴れたい!」と父親の鍾繇を説得する

・ちょうど曹叡の下で献策が入れられにくくなっていた鍾繇も、息子鍾会の野心かわいさに、蜀への寝返り計画に興味を持つ

 

という巨大なシナリオが発動するかもしれません!

 

ローランド風 鍾会

 

諸葛亮孔明が、鍾繇と鍾会の親子に、要求することは何か?

 

行軍する兵士達a(モブ)

 

もちろん、孔明が北伐を実行したタイミングで、魏の漢中方面の防衛軍をまるっと鍾繇鍾会親子で抱き込み、長安への攻略路を孔明に明け渡す、という大胆なタイミングでの「大寝返り」実行でしょう!

 

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鍾会特集

 

 

 

そこに「ちょっと待った!」と声をかけるあの男!

行軍する兵士達b(モブ)

 

 

漢中方面の魏軍の上層部に影響力を持つ鍾繇が、密かに裏切り賛同者を増やして、北伐時にこのような「大寝返り」を実現させれば?成功したら、これは三国時代でも最大の「寝返り事件」になるでしょう。ただし!よしんば鍾繇がこの話に乗り気になり、諸葛亮孔明との秘密同盟を結んだとしても、ここにひとつ障害があります。そうです!

 

北方謙三 ハードボイルドな司馬懿

 

 

この時期の対蜀戦線には、司馬懿が赴任してくるのです!史実でも司馬懿は、諸葛亮孔明の北伐前の秘密工作を、次から次に発見し、事前に防止してしまいました。鍾繇が「大寝返り」を密かに準備しているところに、ちょうど司馬懿が赴任してくると、「どうも鍾繇と鍾会の親子の動きは匂うな?」と、ピンときてしまうことでしょう。

 

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鍾会の乱

 

 

 

まとめ:勃発するのは「司馬一族」と「鍾一族」の夢のガチ対決!

司馬懿

 

 

しかし正史において、あれほどの名将と評価された鍾繇のこと。司馬懿が探りを入れてきても、さまざまな手を凝らし対抗するかもしれません。

 

そうなると、どうなるか?

 

司馬師と司馬懿

 

 

諸葛亮孔明が支援している状態での、鍾繇と鍾会の親子が、それを怪しんで介入してきた司馬懿と司馬師しばし)司馬昭(しばしょう)の親子と、ガチの騙し合い、策略の仕掛け合い、壮絶な駆け引きを展開する!局面によっては、鍾繇の一族と司馬懿の一族の軍事的な決戦もあり得るかもしれません。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

「あ、もしかしてこのシナリオって、司馬懿と鍾繇を戦わせてみたいという夢が目的?」とバレましたかね?

 

晋の司馬師は玉座に座る

 

ハイ、そうです。そもそも三国志後半は、司馬懿とその息子たちが専横の限りを尽くすばかりなので、誰かそんな司馬一族のライバルになり得る人物が登場するイフ展開が欲しく、鍾繇に目をつけた次第でした。しかし、史実でも、鍾繇の息子の鍾会は司馬一族に滅ぼされる運命ですよね?

 

鍾繇(しょうよう)と木簡

 

それならば、もっと早い段階、父親の鍾繇も生きている段階で、司馬一族と華々しくやりあってくれたほうが面白かったのではと考えたわけです。しかも孔明の秘密の支援を受けて!この場合、最後に笑うのは、鍾一族か、司馬一族か、あるいは、その漁夫の利を得た孔明になるのか!皆様の予想は、いかがでしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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