三国志序盤の悪役と言えば、なんといっても董卓でしょう!
後漢王朝の混乱に乗じて洛陽の都で権勢を振るい、悪政と暴虐の限りを尽くした後、反董卓連合軍の攻撃を受けて窮地に陥ると、なんとその洛陽を焼き払い、長安に逃げ延びてしまいました。
彼のこの所業ゆえに、当時の中国の大都市、洛陽は焼土と化し、大勢の人々が犠牲となったとか。ところが驚くべきことに、この「洛陽から長安への緊急脱出作戦」は、ムチャクチャに見えて、結果的にはアタリだったのです。
長安に逃げ込まれたことで時間稼ぎを食らった反董卓連合軍は、間もなく、諸将どうしの仲違いで勝手に崩壊。おかげで、この後しばらく、董卓は長安で権力を維持することに成功しました。もっとも、長安で権勢を振るっているうちにクーデターが発生し、けっきょく董卓は無惨な形で生涯を閉じるわけですが。
この記事の目次
イフ展開:もし董卓が長安すらもまたあっさり捨ててどんどん西へと逃げ延びていたら?
しかし、ここで、どうでしょう?
洛陽という重要都市をあっさり捨てて逃げることで起死回生した董卓。
もし彼が、このパターンに味を占め、長安で不穏な気配が漂ってきた時にもまた、危険を感じ取り、さっさと長安を脱出して本拠地を更に西へ移動していたら?のみならず、その後も、ピンチになったら、すぐに拠点を捨てて、どんどん西へ脱出する癖がついていたら?
今回は、そんなイフ展開を考えてみました。すなわち、董卓が王允や呂布のクーデターによって長安で殺害されることなく、むしろその前に、先手を打って、重臣を連れて長安からもさらに逃げ延びてしまう選択をしていたら?
いったん中国の中央から姿を消すとはいえ、董卓が史実よりもしぶとく、何年も何十年も、辺境で生き続けるシナリオです。しかも・・・呂布を引き連れたまま!
この展開で董卓が落ちる先は後の「諸葛亮の北伐」の逆ルートになる?
それにしても、洛陽に続いて長安まであっさりと捨てた董卓。玉璽も、献帝さえも放り投げての西方逃避行。その行き先はどこになるのやら。
考えられるのは、長安よりも更に西にある要衝、漢中でしょうか。
史実では張魯がここに独自の勢力を築き始めていた筈ですが、なんとなんと、長安から脱出してきた董卓軍の先鋒、呂布の前に張魯軍は一夜で壊滅。漢中は董卓の拠点となってしまうでしょう。ところが、それでも話は終わりません。
董卓がいなくなった中国の中央では、曹操が台頭し、董卓が放り出した献帝を奉じて勢力を拡大し、順調に袁紹を破って中原に覇を唱えます。漢中にいた董卓も、たちまち、巨大化する曹操軍の脅威に耐えられなくなるでしょう。そこで董卓は、曹操に追いつかれる前に、更に西へと逃げる決断をするでしょう。
どこへ?
そうです。長安から西へ行き、漢中を取ったとなれば、そこからさらに西南に、中原の群雄割拠から距離をとって雌伏できる素晴らしい土地がありますよね?
史実では、後に劉備が制圧して蜀を建国するはずの土地、益州です!
史実では、益州に蜀を建国した劉備の後を継いだ諸葛亮が、益州から出発して、漢中を中継地点として、長安を攻撃しようとしました。それが、いわゆる「諸葛亮の北伐」です。このイフ世界では、なんと、董卓は、その諸葛亮の北伐の逆ルートを通って、益州に入ってしまうことでしょう。
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【北伐の真実に迫る】
赤壁の戦いで漁夫の利を得るのは董卓になる?!
長安を捨てて、漢中を経て、五丈原を南に下って、董卓軍は益州に潜入します。
ちょうど、中原で袁紹を破った曹操軍が荊州に向かって南下し、孫権との間で赤壁の戦いが勃発する頃。西方では、董卓軍が、曹操や孫権や劉備とはまったく関係ないところで、自分自身の生き残りを賭けた死闘を開始します。
相手は、劉璋。
劉璋軍にも、張任や厳顔など、名の知れた将軍は複数おりますが、董卓軍にとっては何も問題がありません。だって呂布がいますから。こうして、いつしか成都を奪取し、劉璋を刑死に追いやった董卓。
益州を拠点に、気付けば、守りに固い独立勢力として屹立しています。
ちょうど赤壁の戦いが終わった頃に、曹操や孫権が気づいてみれば、「あれは董卓じゃねえか!なにやってんだテメエ!?」と叫びたくなる筈です。とうの昔に、長安から消えたはずの男が、益州に大勢力を保って引っ込んでいるのですから。
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まとめ:老いた董卓と中年呂布は劉備軍の猛攻に耐えられるか!
これは面白いイフ展開になりました。
なんとなんと、これでは、魏呉蜀の三国鼎立が成立したとき、魏は曹操、呉は孫権が君主ですが、蜀を建国するのは董卓になってしまっています。曹操と孫権と董卓が三国を鼎立する「三国志」の始まり?
ですが、ここで董卓軍には、実に頭の痛い問題が起こります。
もともと益州に入る気まんまんだった、劉備玄徳が、荊州を拠点として、自らの命運をかけて、鬼の勢いで益州に突入してくるからです。
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三国志ライターYASHIROの独り言
はたして、この頃にはずいぶん老いているはずの董卓と、さすがに中年となり体力も落ち始めている呂布の二人組は、諸葛亮と龐統を抱え、関羽や張飛や趙雲を繰り出してくる劉備とガチンコでやりあって、勝ち目はあるのでしょうか?
史実と比較して、せっかく寿命が長く伸びたはずの董卓と呂布が、鬼の勢いの劉備軍を前に、どこまで益州で持ちこたえられるのかは見ものですが、少なくとも、呂布のファンにとっては、呂布ほとんど一人が、張魯軍を倒し、呂布ほとんど一人が、
劉璋軍を片付け、呂布ほとんど一人が、劉備軍と死闘を演じるというこのイフ展開、史実の呂布の末路よりも、はるかに、華はあると思いますが、いかがでしょうか?
ただし・・・董卓と呂布が、もしこの益州に、うっかり貂蝉も連れてきてしまっていたら、よりによってこの最大の見せ場、劉備軍との戦いの時に、貂蝉の毒が発動し董卓軍内部混乱、という恐怖のイベントも起こり得ますが・・・。
董卓も呂布も、長安から落ちる時には、貂蝉は手放しておきましょう。いや、この二人の執着心の強さを考えると、無理か?
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