今度の曹操(そうそう)軍は気合いの入り方が違いました。
軍は10万人ずつ、5つの軍団に分かれています。
三番手、夏候惇(かこう・とん)、夏候淵(かこう・えん)、
五番手、を曹操自らが率い、総勢は50万人という大軍です。
前回記事:68話:劉表死す、そして偽の遺言書で劉琮が後継者に
この記事の目次
天才軍師・孔明も反撃するが・・・・
孔明(こうめい)は、最初に新野城で迎え撃ち、
一番手、曹仁、曹洪を火攻めにして、
逃げる敵に白河の水を被せて蹴散らします。
しかし、その程度の攻撃では、曹操軍50万人はビクともしません。
やむなく、孔明は新たな曹操軍が到着するまえに、
江陵(こうりょう)城に退却して兵力と食糧を補給する事を進言しました。
劉備の人徳全開!
ところが、退却する劉備(りゅうび)軍に異変が起こります。
新野の領民、10万人が劉備を慕い、軍勢についてきたのです。
馬に乗っているわけでもなく、足の遅い老人、子供、女性が
混じっている領民を加えては軍の退却は進みません。
孔明は、劉備に対して、領民を置いていくべきだと進言します。
そうでないと、戦うどころではないからです。
しかし、劉備は、もっともな進言にも関わらず首を振ります。
「領民達は、この私を慕ってついてきているのだ、、
彼等を見捨てて、自分達だけ退却する事は私には出来ない」
(甘い、あなたは甘すぎる、、戦場ではその甘さは命取りだ)
孔明は思いましたが、口には出しませんでした。
こういう劉備だからこそ、多くの人に慕われ、
今まで、乱世を生き残ってこれた事が分かっていたからです。
劉備軍は危機に追いやられる
そして、劉備軍は長坂という場所で曹操軍50万に追いつかれました。
劉備は止むなく、本隊の精鋭2000騎で立ち向かいますが、
あっという間に蹴散らされてしまいました。
劉備軍は壊滅し、50万という海のような、曹操軍に呑みこまれてしまいます。
劉備は、命からがら単騎で逃げのびるのが精一杯でした。
そんな中で、劉備の生まれたばかりの息子である阿斗(あと)が、
生母の縻(び)夫人と共に取り残されます。
劉備軍の猛将・趙雲(ちょううん)が頑張るよ
その場にいた趙雲(ちょううん)は、夫人を守りながら
曹操軍将兵を斬り捨てて血路を開きますが、
進んでも、進んでも、曹操軍の旗ばかりです。
ここで、縻夫人は、趙雲に告げます。
縻夫人は:「女の私が一緒では逃げ切れません、どうか、私には構わず、
阿斗だけでも助けてあげて下さい」
縻夫人は、そう言うと阿斗を置いて、古井戸に飛び込んで自殺しました。
趙雲:「奥方様、、、何と早まった事を、、」
趙雲は、唇を噛みましたが、もうどうにもなりませんでした。
趙雲は、阿斗を懐に抱くと、馬に跨り、全速力で駆け抜けました。
立ち塞がるものは、一刀の下に斬り捨てて駆けるその姿は、
まるで無人の荒野を駆けるようです。
「ああっ!敵将ぞ!討ち取れ、弓矢で射よ」
趙雲に向かって、曹操軍将兵から大量の矢が降り注ぎます。
人材マニアの曹操が急に叫びだした!汗
しかし、その趙雲の雄姿を見た曹操は叫びました。
曹操:「馬鹿者、あれほどの勇者を射殺してはいかん!!
生け捕りにするのだ!!殺したものは重罪に処す」
ああ、ここで、三国志屈指の人材マニア曹操の悪い癖が出た、、(笑)
殺す気で、掛からないと趙雲のような猛将を捕えるのは不可能です。
結局、曹操軍の猛将は気おくれし、趙雲を逃がしてしまったのです。
劉備や孔明、趙雲のような主だった武将は、長坂橋を通過しました。
しかし、バラバラな劉備軍を整えるのには時間が掛かります。
男気・張飛(ちょうひ)の出番
そこで、長坂橋と呼ばれる橋の中腹に時間稼ぎの為に
たった1騎で立ったのが張飛(ちょうひ)です。
張飛:「後は俺に任せとけ、、死んでも曹操のヤツは通さねぇ、、」
やがて、曹操軍の騎兵が長坂橋に殺到すると、
張飛は、鼓膜が破れるような大声で怒鳴りつけました。
張飛:「我こそは張飛翼徳(ちょうひ・よくとく)なり、
生命が要らねぇヤツから掛かってこい!」
そのあまりの気合いの凄まじさに、馬も兵も怯えてしまい、
そこから、身動き一つできません。
ようやく、勇気を奮って、飛び出した騎兵も、狭い橋の上に
飛び移るや、張飛の蛇矛(じゃぼう)で一刀両断されました。
張飛が時間を稼いでいる間、劉備軍は、江夏(こうか)を守っている
劉琦(りゅうき)の下に退却する事になります。
劉琦は、劉備軍が退却してくると、自ら兵を率いて、
江夏城に迎え入れたのです。
今となれば、劉備が助けてやってくれと孔明に頼んだ
劉琦が、拠点を失った劉備軍の救世主になりました。
孔明:「情けは人の為ならず、巡り巡って自分の為、、」
計略ずくで、劉琦を見捨てようとしていた孔明は、
この時に劉備の理屈ではない情がもたらす強運を
思い知ったかも知れません。
耳で聞いて覚える三国志
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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。