曹操(そうそう)よりも同族の劉備(りゅうび)を頼った方が良いとする張松の意見に、気が弱い劉璋は賛成して、
家臣の法正(ほうせい)を劉備の元に送ります。
前回記事:87話:劉備、蜀への侵攻を決意
この記事の目次
劉備の蜀入りを反対する勢力
蜀臣の王累(おうるい)、黄権(こうけん)、劉巴(りゅうは)は、
「劉備は決して仁君ではなく、これまでも群雄の下を
転々としながら勢力を奪った油断ならない男です。
好意で、庇を貸したら、母屋まで奪われますぞ」
と孟反対しましたが、隣国の張魯(ちょうろ)が怖くて仕方がない
劉璋は、耳を貸さずに押し切りました。
劉璋は劉備を歓迎し100日も宴が続く
劉璋は蜀に入ってきた劉備を大歓迎し、何と歓迎の宴は、
100日もの間続いたと言われています。
劉璋のお人好しぶりも凄いですが、この乱世に1州だけで、
100日も盛大な宴を張れる益州の富も劉備には眩しく映ったでしょう。
劉備は張魯討伐に出る
劉備は劉璋の好意に厚く礼を述べて、早速張魯を討つ為に
葭萌関(かぼうかん)に軍を進めます。
ちょうど、その頃、同盟関係にあった呉の孫権(そんけん)から、
劉備に救援要請が入ってきます。
曹操軍の戦いで苦戦しているので同盟の誼で援軍を派遣して
欲しいというのです。
同盟孫権から救援要請、その意図とは
ただ、これは、劉備の蜀取りを牽制する為に孫権が行った
偽計であるという見方が大きいようです。
しかし、軍師龐統(ほうとう)は、むしろこれを利用して
劉璋から兵を奪おうと画策しました。
龐統:「呉に援軍を出す必要はありません、孫権が勝とうと、
曹操が勝とうと連中が次に手を出すのは荊州だからです。
荊州は、孔明や関羽、張飛、趙雲が守っているので盤石、
心配は要りませんが、折角の孫権のお誘いですから、
この手紙を劉璋に送り、この通り呉が困っているので
軍勢を3万貸して下さいと要請して下さい。
上手くすれば、敵軍3万が無傷で手に入ります(笑)」
劉備は、それは名案だと劉璋に使いを送ります。
劉備と劉璋に亀裂が入る
しかし、実際に派遣されたのは、たった4千名の援軍、
しかも劉璋は、フ水関の守りを固めてしまったのです。
これを聞いて怒った劉備は、5万の軍勢で白水関を突破
フ水関を攻め落とすべく軍を進めます。
ですが、どうして劉備を信じていた劉璋は突然豹変したのでしょう?
劉璋が劉備を信じられなくなった理由は?
そこには、劉備が中々蜀を獲りにこない事にイライラした張松の
手紙の存在がありました。
張松は、劉備に
「一刻も早く、蜀を奪い取って下さい」と書いた手紙を
前線の劉備に出していたのですが、この手紙が張松の兄、
張粛(ちょうしゅう)の手を通して劉璋に渡ってしまったのです。
劉璋はカンカンに怒り(当たり前)張松を捕えて、
一族皆殺しにした上で、劉備を警戒し、フ水関の守りを
固めてしまったのです。
儚い蜜月ではありましたが、どんなキレイ事を並べようと、
劉備が蜀を獲る既定路線は変わらないのであってみれば、
時期はずれてもいずれ、こうなる運命ではありました。
張松という男
それにしても、張松、、
もう少し大人しくしていれば、蜀で同僚の法正と共に
高位高官に昇れたかも知れないのに、、短気を起して
身を滅ぼしてしまいましたね。
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