古代中国の春秋・戦国と呼ばれる時代は戦乱の時代でした。
秦王政が統一国家を打ち立てるまで、500年以上中国各地で
戦が繰り広げられておりました。
この戦乱の時代には名将や名宰相、軍略家が世の中に多く出て、歴史に名を刻みます。
田文(でんぶん)も歴史に名を残した天下の名宰相です。
しかし彼の幼少期と青年期はつらいものでした。
今回は孟嘗君(もうしょうくん)こと
田文(でんぶん)を前編・後編に分けて紹介したいと思います。
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5月5日生まれの田文
田文は斉王の従弟である田嬰の子として生まれます。
田嬰は40人もの側室をもっており、田文の母親は大勢の側室の中でも低い身分の出身でした。
また古代中国では「5月に生れた子供は、大きくなったらあなたを
殺すことになる」と言う迷信が信じられていた時代でもありました。
なぜ5月生まれの子が親を不幸にするのか。
5月は「悪月(あくげつ)」と呼ばれ、一年で最も忌まわしい日であったそうです
そんな五月に田文は誕生します。
父に殺されそうになる
田嬰は占い師の予言の子である5月5日に生れた田文を殺害しようとします。
田文の母親は田嬰の言葉を聞き、息子を知り合いに預け、
田嬰には「あなた。田文は殺しました。ご安心ください」と嘘をつきます。
田嬰は彼女の言葉に満足げに頷き、仕事に励んでいきます。
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息子が生きていることに激怒
田文は父の顔を知らずに育っていきます。
田文は成人すると母に呼ばれて父田嬰の家に赴きます。
田嬰は母親に「誰だ。こいつは。」と険しい口調で問われます。
すると母親が「私の子供です。つまりあなたの子ですよ」と伝えます。
田嬰は激怒。田文を指さしながら「お前。こいつを殺したと言ったではないか」と激しい口調で詰問します。
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父に認められる
二人の話を聞いていた田文は「なぜ5月生まれの私を殺害しようとしたのですか」と父に問いただします。
すると父は「5月生まれの子は、長(たけ)戸(こ)と等しくば将(まさ)に
其(そ)の父母にりならざらんとす」と答えます。
この意味は五月生まれの子は、門より背丈が高くなって、父や母に害をなす存在となるという意味です。
田文は父の言葉を聞き「父上。人の運命を決めるのは天が決めるものでは
ないですか。門が人の運命を決めるものではありません。」と反論します。
田嬰は彼の言葉に納得し、自らの家に住むことを許可します。
しかし過去のいきさつから待遇は良くありませんでした。
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「玄孫(やしゃご)」の名を問う
田文は父の屋敷での暮らしを始めます。
そんなある日彼は父に「父上。玄孫の名お分かりですか」と問います。
田嬰は息子に「わからん」と答えます。
すると田文は「父上。現在斉は領土の拡張が行われておりません。それなのに
この家には膨大な蓄財があります。その蓄財を父上は名前も知らない誰かに
残すのはもったいなくありませんか。」と問いただします。
田嬰は頷き「ではどうするのが正しいのだ」と再び質問します。
田文は「才能を持つ食客を全国から集め養うべきです。」と提案。
田文は大いに頷き、食客集めを開始します。
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田文の家に食客が集まる
田嬰は食客を斉国で集め、田文に食客の世話を任せます。
田文の世話は食客たちに非常に評判が良く、斉の王や貴族、
全国の諸侯にまで彼の名が知れ渡るほどでした。
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父の後継ぎが決定
田嬰は彼の名が斉の貴族や王だけではなく全国に知れ渡っていることを知り、
一つの決断をします。
彼は田文を呼び「私の跡を継ぐのはお前だ。後を頼むぞ」と告げます。
田文は唐突の事でありましたが、力強く頷きます。
こうして田文は幼少期~青年期にかけて冷遇されていた忍耐の日々を
耐え抜き、激動の乱世の世界に羽ばたく事になります。
三国志ライター黒田廉の独り言
彼の幼少期~青年期はつらいものでした。
青年期の辛さをようやく抜け、天下へ飛翔する事になります。
しかし天下に羽ばたいた孟嘗君田文はその後もつらく厳しい時を
いくつも乗り越えて行く事になります。
今回のお話はこれでおしまいにゃ。次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃまたにゃ~
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—熱き『キングダム』の原点がココに—