孟嘗君(もうしょうくん)とはどんな人?戦国七雄に絶大な影響力を及ぼした戦国四君【成人編】

2016年1月29日


 

孟嘗君

 

孟嘗君(もうしょうくん)こと田文(でんぶん)は生まれた直前に父親である田嬰に殺されそうになりますが、

母親の機転によりなんとか殺されずに済みます。

田文は成人してから父と会います。

田文と父の仲は中々良くなりませんでしたが、父から食客の世話を見事に

行い、田文の名声が天下に轟くと、父との仲が回復します。

田文は田嬰の後継ぎに認められ、激動の時代に羽ばたく事になります。

 

前回記事:孟嘗君(もうしょうくん)とはどんな人?戦国七雄に絶大な影響力を持った戦国四君【青年編】

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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秦の昭襄王(しょうじょうおう)に乞われて秦へ

 

 

田文は父の跡を継ぎ薛の領主となります。

さて田文が薛の当主になった頃、斉の西方にある国が彼に目を付けます。

その国は秦です。

キングダムで有名になった秦王政の曽祖父である昭襄王は

田文の名声を聞き、弟を斉へ人質に出し、宰相に迎えようと使者を送ります。

田文は昭襄王の求めに応じ、秦へ行こうとしますが、食客に止められます。

しかし、斉王である湣(びんおう)が「田文よ。秦に行け」と命令。

田文は斉王の求めに応じて、秦へ向かいます。

 

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秦の宰相・田文

 

 

昭襄王は田文が秦に来てくれた事がよほどうれしかったらしく、

田文を迎える宴会を数日間にわたって開催します。

田文を迎える会が終わった後、正式に秦の宰相として彼を迎え、政治を任せます。

昭襄王は宰相として優れた能力を発揮した田文に大満足。

田文も昭襄王がよろこんでくれた事で、秦をさらに良くしようと

色々な政策を実施します。

 

 

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優れた才能が命取りに

 

 

田文と昭襄王は互いを信頼し、良きパートナー同士でありました。

しかし田文が斉に帰らなくてはいけない時期が近づいてきます。

秦の群臣らは田文をこのまま斉に帰しては危険だと思い

昭襄王に「斉の田文をこの国から出してはなりません。彼を斉の国に帰せば

後々秦にとって危険になる事は必定です。

秦に居る間に殺してしまいましょう。」

昭襄王は家臣の進言に頷き、田文を殺害する決意を固めます。

 

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最上級の毛皮のコートを要求

 

 

田文は昭襄王によって軟禁されます。

彼は「もしや昭襄王が私を殺そうと企んでいるのか。」

と食客に尋ねます。

食客は「殿の言う通りです。仕入れた情報によると斉に帰さず、

殿を秦の国内で殺害しようと計画しているそうです」と食客から聞きます。

田文はこの状態を打破するため、昭襄王の側室に「私を解放してくれるように

王に頼んでくれないか」と助けを求めます。

彼女は「頼んであげてもいいけど、一つ条件があります。狐白裘(こはくきゅう)をくれたら

お願いしてあげる。」と条件を突きつけます。

狐白裘とは狐のわきの下の白い毛を集めて作った最高級のコートです。

 

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狗盗(くとう=こそどろ)に助けられる

 

 

田文は昭襄王にこの毛皮のコートを献上してしまったため、手元にありませんでした。

ここで意外な才能を持った食客が手を挙げます。

その食客とは狗盗(こそどろ)の才能を持った食客です。

彼は「私が、昭襄王の宝物庫に入って盗んできます。」と告げ、田文の元を去ります。

翌朝彼は狐白裘をもって田文の所に現れます。

田文は食客が盗んできた狐白裘を昭襄王の側室に献上します。

彼女は田文の願いを聞き入れ、昭襄王に田文の釈放を嘆願。

昭襄王は側室の願いを聞き入れ、田文を解き放ちます。

 

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函谷関を鶏の鳴きまねで開門させる

 

 

田文は軟禁状態が解かれるとすぐに食客を連れて出発します。

昭襄王は田文が食客を連れて函谷関へ向かっていると知り、すぐに追手を差し向けます。

田文一行は昭襄王の追手をかわすため、休憩せず帰途を急ぎます。

そのおかげで夜中に秦の国門である函谷関に到着します。

しかし函谷関の扉は閉まっておりました。

函谷関には鶏の声が聞こえるまで門は開けてはいけないとの

決まりごとがありました。

田文は食客に「やばい。このままでは我らは捕まってしまうぞ」と不安を口にします。

すると食客の一人がいきなり鶏の声を真似ます。

すると村の鶏が一斉に鳴き出し、函谷関を守っている守兵は門を開きます。

田文は函谷関が開くとすぐに走りだし、食客の助けにより秦の国から何とか脱出します。

狗盗(こそどろ)の食客と鶏の声真似をした食客

この二人の活躍は後世「鶏鳴狗盗」と呼ばれる事になります。

 

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趙の人々に悪口を言われ、町を滅ぼす

 

 

田文はそのまま斉へ行くことをせず、趙へ寄り道をします。

彼は趙に着くと休憩を取るため、宿舎を探します。

町を歩く人々が田文を見て「薛の領主である田文様は背が高くて

カッコいいと思っていたが、本物はチビであんまり

カッコよくないじゃないか。」

と人々がささやきあっているのを耳にします。

田文は激怒し食客達に「さて皆の衆。住民を皆殺しにせよ。」

と手を振り号令をかけます。

田文はこの町に住む住民全てを皆殺しにして、趙を立ち去ります。

 

三国志ライター黒田廉の独り言

黒田廉

 

さてこうして孟嘗君田文は危機を脱し斉へ帰る事になります。

「鶏鳴狗盗」を題材にして超有名な日本の歌人が歌っております。

その歌人とは清少納言です。

彼女は「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」と歌います

この歌の意味は私をだまそうとしても、あなたの言葉に騙されませんよ

と言う意味です。

実はこの歌全体に「鶏鳴狗盗」が隠れているのです。

今から解説します。

それは前文の「夜をこめて鳥の空音をはかるとも」の所です。

「夜をこめて」は夜である事を隠してと言う意味です。

そして次の文である「鳥の空音をはかるとも」が鳥の真似をしてもと言う意味です。

そうするとこの歌全体の隠れた意味が出てきます。

「函谷関なら鳥真似して開ける事ができますが、私たちが合う逢坂の関は開く事

はできません」と言う意味になります。

清少納言がこの歌を作った事で平安時代の日本にも、孟嘗君田文の名が伝わる

事になります。

今回のお話はこれでおしまいにゃ。次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。

それじゃまたにゃ~

 

次回記事:孟嘗君(もうしょうくん)とはどんな人?戦国七雄に絶大な影響力を及ぼした戦国四君【反逆編】

 

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黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

三國志が大好きです。オススメのマンガは曹操を描いた蒼天航路がオススメです。三國志の小説のオススメは宮城谷昌光氏が書いた三國志です。好きな食べ物はマグロ、ぶり、アジが大好きな猫です。

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