三国志に関心があるけど書籍だと難しそう、でも漫画で描かれた三国志なら
分かりやすいに違いないというビギナー読者をカオスに巻きこんでしまう、
そんな危険な三国志漫画の代表格が、天地を喰らうです。前回は、天界、地獄、
魔界と人間界を行ったり来たりする劉備玄徳(りゅうび・げんとく)の活躍を
描きましたが、今回は、その後編を解説しますよ。
前回記事:天地を喰らうという漫画があまりにもカオス!裏三国志入門書 Part 1
この記事の目次
- 呂布と貂蝉、董卓登場、一番危険な存在はだーれだ?
- ブラコン貂蝉、兄を英雄にする為に董卓に接近・・
- 曹操、七星刀で董卓を暗殺しようとして失敗し竜に救われる
- 曹操、偽物の檄文を書くも、不発、しかし董卓が本物の檄文を飛ばす
- 集まった反董卓連合軍、27万人に董卓ビビる
- 孫堅、登場するも袁術に食糧を断たれ戦死・・
- 虎牢関で曹操の知略滑りまくる・・
- 曹操、汚名返上、日食を利用して虎牢関を抜く
- 董卓を追撃すべしという曹操に連合軍、ボイコット
- ブラコン貂蝉、再び動いて呂布に董卓を斬らせる
- 献帝、ストックホルム症候群で呂布を丞相に任命
- 突然のフィナーレ、玉皇大帝が人間界を滅ぼすと宣言
- 劉備、泰山に登り誓う 俺は皇帝になるーーっ!
- 三国志ライターkawausoの独り言
呂布と貂蝉、董卓登場、一番危険な存在はだーれだ?
さて、劉備や孔明(こうめい)が魔界で幻鐘(げんしょう)大王を破った頃、
黄巾の乱は平定され、宮廷では、外戚と宦官の抗争が激しくなり、
ついに袁紹(えんしょう)は、親分の何進(かしん)を宦官に殺された報復で、
宦官皆殺しを敢行、洛陽は大混乱になります。
その頃、養父の丁原(ていげん)と共に、洛陽に向かう呂布(りょふ)と
貂蝉(ちょうせん)の姿がありました。
天地を喰らうの貂蝉と呂布は、母が西域の人で実父が丁原という設定、
つまり二人は金髪碧眼でおまけに兄妹になっています。
二人が道を歩いていると、そこに少年を引き連れてコソコソ移動している
一団に遭遇、これを人さらいと勘違いした呂布は一団を切り捨て、
少年を保護します。
なぁ、、一応・・・・確認とかないのか、呂布・・
ところが、人さらいに見えた一行は十常侍の宦官、張譲(ちょうじょう)
そして、保護した少年は帝の少帝と弟の劉協(りゅうきょう)でした。
そこに都合よく、董卓(とうたく)も登場、呂布の手柄を横取りし、
自分が張譲を斬り、帝と劉協を保護したとして洛陽に入城します。
ブラコン貂蝉、兄を英雄にする為に董卓に接近・・
さて、帝を保護した董卓ですが、暗愚な少帝を毒殺し利発な劉協を立てます。
これが献帝(けんてい)ですが、丁原は董卓の横暴に怒りこれを討とうとします。
ここで動いたのが貂蝉です、彼女は丁原が金目当てに実母を売り飛ばした事を
許せず、この機に乗じて、董卓に接近するのです。
そして、同時に飛ぶ鳥を落とす勢いの董卓に兄である呂布を売り込もうとします。
そう、天地を喰らうの貂蝉は、病的なブラコンで呂布を英雄にする為には
人殺しも辞さない怖い女、しかも、その計画は呂布にも知らせない事が多い
とんでもない爆弾娘なのです。
この時も勝手に董卓に「呂布に丁原を殺させ首を持ってくる」と約束し、
呂布を困惑させますが、董卓から呂布に贈られた赤兎馬を見ると、
呂布は感激し、あっさり丁原を斬り董卓の配下になります。
曹操、七星刀で董卓を暗殺しようとして失敗し竜に救われる
呂布を手に入れた董卓の横暴はさらに激しさを増していきます。
そこで、曹操(そうそう)は董卓を暗殺しようと、
宝刀の七星刀(しちせいとう)を餌に董卓に謁見しますが
暗殺の意図を呂布に見透かされあえなく失敗、、
しかし、殺される寸前に天井をぶち破って、竜がやってきて、
曹操を背に乗せると飛び立ってしまいました。
・・・・前編を知らない人は何の話と思うでしょうが
竜は天界の竜王の娘の嵐(らん)で、彼女は数年前に曹操と
ウヒョ♪した間柄なので曹操のピンチに現れて、救ったのでした。
関連記事:宝刀・七星剣(しちせいけん)?なにそれ?おいしいの?伝家の宝刀を分かりやすく解説!
曹操、偽物の檄文を書くも、不発、しかし董卓が本物の檄文を飛ばす
救われた曹操、単独では董卓を倒せないと悟り、宮廷に忍び込んで、
献帝から董卓を討てという天子の密書を持ちかえったと嘘をついて、
檄文を作成し、ばら撒きますが、すぐに嘘がバレて不発します。
しかし、天地を喰らうの董卓は剛胆です、献帝に董卓討伐の密書を
わざわざ書かせて、全国にばら撒きました。
こうして自分の敵になる連中は、炙り出し一網打尽にしてしまえというのです。
さすがは董卓、セコセコ密書を偽造した曹操とは格が違います。
集まった反董卓連合軍、27万人に董卓ビビる
しかし、董卓は自分が思っていた以上に周囲に嫌われているとは、
考えもしなかったようで、結集した27万人の反董卓連合軍には、
大慌てしてしまいます。
反董卓連合軍の総大将は史実通り、袁紹、曹操は副官に収まっています。
まだ汜水関が出来ていないと慌てる董卓ですが、猛将華雄(かゆう)が登場、
27万の大軍を谷間の出入り口に誘い込んで足止めし、大将クラスの首を次々に
刎ねるので、反董卓連合軍は色を失います。
ですが、ここでお約束の通り、薄汚い百姓兵という理由で最後尾に
下げられていた劉備軍の関羽(かんう)が登場、2頭の馬に跨り、
華雄の首をあっと言う間に刎ねて、劉備軍をPRします。
関連記事:反董卓連合軍に参加したのは、誰と誰なの?【素朴な質問】
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孫堅、登場するも袁術に食糧を断たれ戦死・・
ダメージを受けた公孫瓚(こうそんさん)に替わり
今度は孫堅(そんけん)軍が登場します。
そして、ようやく完成した汜水関に背水の陣で挑み、これを打ち破ります。
ところが、補給担当の袁術(えんじゅつ)が、色々難癖をつけて補給を無視、
そこで、呂布がやってきて、孫堅は覚悟を決め、
息子の孫策(そんさく)を逃がして自身は討ち死にしてしまいます。
4万の孫堅軍は、汜水に飛びこんで4000に減少、
孫策は復讐を誓いますが、それは永遠に叶いませんでした。
理由は天地を喰らうが、そこまで続かないからです。
虎牢関で曹操の知略滑りまくる・・
孫堅の犠牲の上に進撃を続ける連合軍に、虎牢関(ころうかん)が立ち塞がります。
1日に千里を走る虎さえ封じ込めるという評判の虎牢関は、
垂直の壁が何十メートルも続く堅牢な要塞です。
連合軍はひとまず衝方陣という陣形で董卓軍に挑みます。
この陣形は、防御に適しているようで、董卓軍も押しつぶす事が出来ません。
イラつく董卓に呂布が「鼎陣で崩してみせましょう」と囁きます。
鼎陣(かなえじん)は、天地を喰らうのオリジナルのようですが、
要は軍を3つに分けて、真ん中を最強、右翼を次に強い軍、
左翼を最弱な軍としてぶつかるようです。
呂布が鼎陣で来た事を知った曹操は、
「これを拒否しては末代までの恥」とこちらも鼎陣を敷きますが
ここで曹操は、セコイ手を使いセオリーを無視して最弱を中央に、
最強を左翼に移動し、次に強い軍を右翼に配置する事で、
真ん中を潰して二勝一敗で勝とうとします。
奇策に打って出た曹操ですが、これが滑って裏目に出ます。
呂布も鼎陣を裏読みしていたようで、連合軍は左翼と右翼が壊滅し、
中央軍だけになってしまいます。
しかし、曹操の予想と裏腹に最弱の中央軍には劉備達農民軍がいました。
たった一軍で呂布の二軍と互角に戦い、呂布を虎牢関に追い払う事に
成功しました。
曹操、汚名返上、日食を利用して虎牢関を抜く
しかし、虎牢関が落ちないのは、まるで変わりません。
そこで、曹操は考え抜いた秘策を実行に移します。
それからというもの、毎日、夜中に軍事訓練を始める連合軍、
理由を明かさない曹操に、皆、不満たらたらですが
副官である曹操の言い分に一応従います。
そして、決戦当日、曹操は全軍に目隠しをさせ、
「私が良いと言うまでほどくな」と変な命令を下します。
そして、その時がやってきます、にわかに天が暗くなり、
太陽が姿を隠し始めたのです、日食でした。
異民族出身が多い董卓軍は、太陽が消えたと大騒ぎ、
一方の連合軍は、夜間訓練で暗さに慣れています。
連合軍は、この機に乗じて虎牢関に襲い掛かり、ついに打ち破る事に成功します。
董卓を追撃すべしという曹操に連合軍、ボイコット
曹操は、この機を逃さず、さらに攻撃すべきだと袁紹に意見します。
しかし、疲れ果てている連合軍は、さらなる追撃に消極的でした。
「明日やればいい、もう虎牢関は破ったんだから」
意見を退けられた曹操は、自分に力がない事を今更ながらに悔みます。
曹操の危惧の通り、董卓は虎牢関を破られると、洛陽に火をかけて、
長安に遷都してしまいました。
連合軍は、焼け野原になった洛陽を見て、モチベーションを低下させ
次第に、軍を離れていき、連合軍は解散してしまいます。
ブラコン貂蝉、再び動いて呂布に董卓を斬らせる
反董卓連合軍を解散させ、心配事が消えた董卓は横暴ぶりが、
末期症状を来たしていました。
宴会と称しては、気に入らない家臣を切り刻み、
その体を鍋に放り込み煮込んで振る舞うという、
食人族バンザーイな事を始めたのです。
そして、全くの善意で煮込んだ人間の肉を
献帝に食べさせようとする有様。
しかし、これも董卓のアイデアではなく、
側室に迎えた貂蝉が、「圧倒的な暴力で反乱を防ぐ」
という名目で考えた事でした。
全く・・何を考えてるんだ、、この女・・
実は貂蝉には、さらなる野望がありました。
こうして、董卓に暴虐な振る舞いをさせて、天下の反感を
生み出し、最後は兄である呂布に董卓を斬らせてしまう
という、またしても、お兄ちゃん英雄化計画でした。
そう、貂蝉の中には呂布を英雄にする、それしかないのです。
ハッキリ言って、ガクブルもののパラノイアです。
献帝、ストックホルム症候群で呂布を丞相に任命
嫌々だった呂布ですが、あまりにもテンションの高い
董卓の暴虐ぶりに、イラッと来て、ついに斬殺します。
それを見ていた献帝、呂布も、そもそも董卓の一味
という事を忘れ去り、ストックホルム症候群を発症したか
いきなり呂布を丞相に任命してしまいます。
天地を喰らうの献帝は、最初に呂布に救出された時から
呂布には、憧れのようなモノを持っていました。
なんやかやで、献帝も呂布に対して、
「頼れるお兄ちゃん属性」がある様子・・
うむ、結構な変態要素を感じます。
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突然のフィナーレ、玉皇大帝が人間界を滅ぼすと宣言
さあ、董卓が死んで、いよいよ、ここから本格的な群雄割拠が始まる
かと思いきや、事態は再び急展開します。
人間界に繋がるゲートを閉じた筈の天界で、竜王の上役の
玉皇(ぎょくこう)大帝が、争いばかりで少しも治まらない
人間世界に激怒していたのです。
「竜王のヤツが人間は独り立ちできるというから、
ゲートを閉じてやったが、何も変わらず争いばかりではないか!
もう我慢出来ん、人間は滅ぼしてやる」
まるで旧約聖書のヤハウェのような短気さですが、
そこへ竜王が飛んできて必死に諌めます。
「まあ、お待ちください、只今、人間界には、
呑邪鬼(どんじゃき)の肝を食べた劉備玄徳という男がいます。
彼が必ず人間の世界に安寧をもたらしましょう」
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劉備、泰山に登り誓う 俺は皇帝になるーーっ!
玉皇大帝は、それならば、もう少し待つといいます。
結構、怒っていた割に、竜王が説得するとあっさり引っ込めました・・
割と物分りのいい上司なのかも知れません。
劉備は、そんな天の気配を悟り、必ず中華を統一して国を安定させる
聖天子になるという事を証明しようと、泰山に登り始めます。
泰山は、かつて始皇帝が天下統一を天に報告した封禅の儀式をした場所です。
それを知った、呂布や孫策、曹操というような劉備のライバルは、
「そうはさせるか、俺こそが聖天子じゃー」と群がって劉備を妨害します。
しかし、劉備以外の英傑は、皆、幻鐘大王が死ぬ時に飛ばした108の煩悩が
体に入りこんでいるので、泰山に登ると地震や竜巻、雷が発生して
ことごとく追跡を阻まれます。
こうして、劉備は泰山の頂きに登り、聖天子宣言をします。
いや、封禅は、そういうヤッホーみたいなものではないんですが、、
いいでしょう、もう、この際・・
晴れやかな顔をして劉備に合流、こうして、史実の三国志の大部分を積み残し、
天地を喰らうは大団円になります。
三国志ライターkawausoの独り言
かなり独特な世界観ではありますが、天地を喰らうは、
読者投票も上位で人気があったようです。
しかし、作者の本宮ひろ志氏が、モチベーションが低下して
連載を投げだし中途半端な打ち切りになってしまいました。
ところが、打ち切りから6年程すると、アーケードアクションゲーム「天地を喰らう」がカプコンから発売されます。
それがゲームバランスの良さから大ヒット、1カ月くらい後にはファミコンに移植されてRPGになり、
そこから、漫画の天地を喰らうもリバイバルHITしたのです。
ただ、原作が再開する予定は無いようですがね・・
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