67話:孔明、博望坡で初陣を飾る。夏侯惇をフルボッコ

2015年4月13日


劉備軍 曹操軍

 

さて、大地を埋め尽くさんばかりの勢いで迫る曹操(そうそう)軍に

対して、孔明(こうめい)は万全の態勢で、それに対抗しようとしていました。

 

劉備(りゅうび)軍は、手勢5000、

10万の曹操軍の20分の1という中々の劣勢に立たされています。

 

しかし、孔明には、別の不安がありました。

 

前回記事:66話:曹操、孔明の実力を確認すべく劉備討伐の兵を挙げる

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孔明が抱えている不安って何?

関羽 3つの条件

 

それは、劉備配下の武将達が自分の手足のように動いてくれるかです。

自分と同じ、途中から参加の趙雲(ちょううん)は、兎も角、

関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)は、劉備と旗上げ当時から付き従う義兄弟、

しかも三顧の礼の経緯や、孔明と劉備の蜜月ぶりで、孔明に対し反発心があります。

 

いかに孔明が万全の準備を整えても、関羽や張飛が命令を

守らないなら、すべてが無駄になります。

 

孔明は劉備にあるお願いをした

孔明 劉備の剣とハンコ

 

そこで、孔明は、劉備に願って、劉備の剣と総司令官の

印綬を借り受けます。

 

これは、戦争の総大将が持つ、アイテムであり、

これを持つ者は、劉備と同じ権限を持つのです。

 

孔明:「皆の者、私は、我が君より、剣と印綬を授けられた

以後、私の命令は、劉備玄徳の命令と心得よ、、

これに背くものは剣で容赦なく斬り捨てる」

 

内心、不満を持っていた関羽と張飛も、これには驚きます。

張飛:(ちっ、、今回ばかりは、若僧の命令に従ってやるか、、)

 

このようにして、孔明は、少々強引ではありますが、

劉備軍の心を一つにまとめる事に成功します。

 

孔明は険しい山を主戦場に選んだ、その理由とは?

諸葛孔明019

 

孔明は主戦場を博望坡(はくぼうは)という険しい山あいに選びました。

ここは、両側を崖に囲まれた、細い山道で、いかに大軍であっても、

ここでは、一列に細くならなければ、通る事は出来ません。

 

孔明は、曹操軍をこの博望坡に誘い込んで火攻めにして、

少数の兵力で撃退しようとしたのです。

 

先鋒は趙雲だよー

趙雲 子龍

 

先鋒に立ったのは趙雲が率いる1000名の軍勢です。

趙雲軍は、夏候惇(かこう・とん)の軍勢10万人に対して、

名乗りを上げて突撃します。

 

しかし、僅かな時間で、抗しきれなくなり、

夏候惇に背を向けて、軍を引き上げてしまうのです。

 

夏候惇:「はっはっは、、趙雲、口ほどにもない、、

もっとも、こんな大軍では、どうにもならんか、、

よおし、、このまま、劉備の本陣まで総崩れよ!」

 

夏候惇は大軍の勢いに任せて趙雲の軍勢に追撃を掛けます。

副将の李典(りてん)は趙雲の動きに不審を持ちます。

 

前回、同僚の曹仁(そうじん)が徐庶に破られているので

劉備に対する警戒心が強くなっていたのです。

 

 

李典:「趙雲程のものが、呆気なさすぎます。

孔明とやらの罠かも知れません」

 

李典は、夏候惇に進言しますが、夏候惇は取り合いません。

 

油断しまくりの夏候惇、案の定・・・

魏武将 はじめての三国志 ゆるい

 

夏候惇:「フン、徐庶は友達の誼で孔明とやらを持ちあげているだけに過ぎぬ

いたずらに敵を恐れるのは勇者ではないわ」

 

そう言って構う事なく、趙雲を追撃していきます。

 

趙雲:(ふっふ、、大きなドブネズミが掛かったわ)

 

趙雲は、笑いながら、どんどん、細い山道に入っていきます。

 

調子に乗っていた夏候惇は、自軍が山道に阻まれて、

すっかり蛇のように細くなってしまった事に気がつきました。

 

夏候惇:「まずい、、趙雲に嵌められた!!」

 

夏候惇が気づいた時にはもう、手遅れでした。

 

曹操軍、一気に劣勢

表情 曹操05

 

山道の両方に伏せていた、劉封(りゅうほう)、関平(かんぺい)の

500名の伏兵が、火矢を曹操軍に向けて放ちました。

 

曹操軍の将兵は慌てて、退却しようとしますが、

事情が分からない後ろの兵は、前の兵に押されて

身動きが取れなくなります。

 

それを見た、趙雲軍は、引き返し、大混乱する曹操軍に

突撃していきます。

逃げるのに必死の曹操軍は、戦うどころではありません。

「退却、、退却だ!!」

 

右往左往する自軍を蹴散らして、夏候惇は、血路を開きます。

しかし、その時に、関羽が曹操軍の最後尾の

輜重隊に襲いかかり、兵糧を奪い取ります。

 

これで、曹操軍は、前を趙雲、背後を関羽に挟まれて、

身動き不可能になりました。

 

夏候惇、更にやばくなる

セイリュウ刀と蛇矛 張飛

 

それに加えて、張飛が、曹操軍の食糧倉庫を焼き払ったので、

夏候惇は、もう自軍を立てなおす事も不可能になり、

軍勢に解散命令を出して、ちりぢりになりながら、

戦場を脱出する以外にはありませんでした。

 

この博望坡の戦いで、曹操軍、10万人は、7万人の死傷者を出し

再編成できた兵力は3万人に過ぎませんでした。

 

孔明、完璧な采配に関羽も張飛も文句なし

蒟蒻問答 孔明と張飛

 

孔明は鮮やかな初陣を飾り、以後、関羽も張飛も、

孔明の命令に逆らう事はなくなるのです。

 

ところが、劉備軍は勝利の美酒に酔う暇はありませんでした。

ちょうど、この頃、荊州を曹操軍の脅威から守っていた、

荊州太守、劉表(りゅうひょう)が病死したのです。

 

流浪の劉備を庇い、色々な便宜を図ってくれた劉表、、

その劉表の死を以て、三国志演義は、新たな局面へと入っていきます。

 

 

耳で聞いて覚える三国志

 

 

次回記事:68話:劉表死す、そして偽の遺言書で劉琮が後継者に

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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