さて、曹操(そうそう)に酷い目に遇わされて劉備(りゅうび)の元で大歓迎を受けた張松(ちょうしょう)は、
曹操に渡すつもりだった蜀の地図を劉備に渡してしまいます。
自分の野心を劉備に話す張松
張松は、直線的な男であり、自分の野心を劉備に話していました。
「残念ながら、劉璋は、凡庸な暗君で乱世を乗り切る力がありません。
曹操どころか、隣の張魯にさえ怯え、曹操に援軍を頼む始末です。
ここは、劉備殿、あなたが益州を獲り、蜀の人民を混乱から救うべきです」
劉備は、張松の勢いに押されて、一度は承諾してしまいます。
劉備の益州獲りに協力者を集める張松
張松は大喜びで益州に帰り、仲間の法正(ほうせい)と
孟達(もうたつ)に経緯を話しして、劉備の益州獲りに
協力してくれるように依頼します。
二人も、劉璋には愛想が尽きていたので、張松に賛同し、
協力する事を約束します。
張松は主の劉璋に劉備と同盟を進言する
気を良くした張松は、劉璋の所まで行き、曹操ではなく劉備と同盟を
結ぶように強く勧めます。
劉璋は、張松の弁舌ですっかり劉備を信用してしまいます。
「おお、劉備殿なら、同じ劉姓で同族、彼が守って下さるなら、
鬼に金棒である、是非、迎えを寄こそう」
こうして、劉璋は法正を劉備の陣営に送り込みました。
劉璋から、直接益州を守ってくれと要請が来たのですから、
鴨がネギを背負って飛んできたようなものです。
しかし、劉備は、この期に及んで蜀獲りを渋ります。
蜀獲りを躊躇する劉備
劉備:「遠縁とは言え、劉璋は同族、同じ一族の国を獲るのは
正直、気が進まない、、」
これが義を重んじ情に厚い劉備の心情で欠点でも長所でもあるのですが、
この時に、龐統(ほうとう)が劉備を強く説得します。
劉備を説得する名軍師・龐統
「御主君、今は乱世です、あなたが蜀を獲らないなら、曹操が獲ります。
どうせ、獲られる蜀なら、あなたが後世の罵りを受けても奪い、
蜀の民を安んじる方が、曹操に獲られるよりずっといいでしょう?」
こう言われて劉備は吹っ切れて蜀の民の為に悪名を受けようと
決意します。
この辺りは龐統の作戦勝ちです。
劉備の情愛に厚い性格を利用して、蜀の民を救う為には、
義を犠牲にしないといけないと劉備に思わせたのです。
劉備は、龐統を軍師とし黄忠(こうちゅう)、魏延(ぎえん)を従えて、
5万の軍勢を仕立てて、表向き、蜀を守るという名目で進軍を開始します。
劉備は、赤壁後に入った新しいスタッフと本格的な
作戦を行う事になります。
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