『三国志演義』は歴史書である正史の『三国志』とは違い、ふんだんに脚色された小説です。エピソードだけでなく、書き加えられた架空人物も実は少なくないのです。物語で重要な役割をするあの人から一瞬で出番が終わってしまうあの人まで、『三国志演義』の架空人物を紹介します。
有名な架空人物
まずは『三国志演義』に登場する架空人物の中でも、有名な人たちを紹介していきましょう。
孤児だった貂蝉を王允は引き取り、娘のように育てました。絶世の美女となった貂蝉は董卓と呂布の仲を引き裂くために、両者を魅了して自分を奪い合うように仕向ける連環の計を仕掛け、見事成功させます。
黄巾賊の一武将でしたが、関羽の人柄にほれ込み、腹心として活躍します。実在しないのにもかかわらず、湖北省にお墓があります。
祝融夫人
南蛮の王、孟獲の妻。一騎打ちに強い飛刀(投げナイフ)の名手で、張嶷と馬忠という蜀の武将を捕縛。しかし、魏延と馬岱によって逆にとらえられてしまいます。
関羽と胡金定の息子。民間伝承に残る人物で、関索が主人公の『花関索伝』は『三国志演義』にも影響を与えています。中国の京劇でも人気のキャラクターです。
『三国志演義』の仙人たち
『三国志演義』には不思議な力を持つ仙人が登場します。次の2人は正史の『三国志』にはいない仙人です。
南華老仙
張角に『太平要術の書』を与えた仙人。ここから黄巾の乱はここから始まります。
紫虚上人
龐統の死を予言した仙人で、人の生死や経済状況を見抜く力を持っています。
于吉や左慈も仙人ではあるのですが、正史に登場するので、一応実在した人物ということに……。
架空の南蛮武将
南蛮についてはあまり記録に残っていなかったのか、
祝融夫人以外にも架空人物が何人も登場します。
朶思大王(だしだいおう)
兀突骨(ごつとつこつ)
孟優(もうゆう)
孟節(もうせつ)
阿会喃(あかいなん)
金環三結(きんかんさんけつ)
木鹿大王(ぼくろくだいおう)
帯来洞主(たいらいどうしゅ)
楊鋒(ようほう)
董荼那(とうとな)
忙牙長(ぼうがちょう)
黄巾賊武将
周倉以外にも、正史の三国志には記述のない武将が登場します。
裴元紹(はいげんしょう)
程遠志(ていえんし)
鄧茂(とうも)
厳政(げんせい)
その他の架空人物
その他にも一騎打ちで瞬殺されてしまう武将や、関羽の五関突破のときに立ちはだかる武将、羌族(きょうぞく)の武将など、まだまだ登場します。
蔡中(さいちゅう) 崔勇(さいゆう) 李珪(りけい)
黄奎(こうけい) 潘鳳(はんぽう) 方悦(ほうえつ)
卞喜(べんき) 穆順(ぼくじゅん) 宗宝(そうほう)
趙岑(ちょうしん) 楊済(ようさい) 鞏志(きょうし)
譚雄(たんゆう) 兪渉(ゆしょう) 鮑忠(ほうちゅう)
鄭文(ていぶん) 王植(おうしょく) 秦良(しんりょう)
孟坦(もうたん) 楊松(ようしょう) 韓福(かんふく)
賈華(かか) 張普(ちょうふ) 王垢(おうこう)
周善(しゅうぜん) 龔景(きょうけい) 夏侯恩(かこうおん)
夏侯存(かこうそん) 陳横(ちんおう) 戈定(かてい)
邢道栄(けいどうえい) 崔禹(さいう) 鍾進(しょうしん)
楊齢(ようれい) 徐康(じょこう) 越吉(えつきつ) 晏明(あんめい)
蔡和(さいか) 雅丹(がたん) 武安国(ぶあんこく)
岑威(しんい) 徹里吉(てつりきつ) 盧遜(ろそん)
蔡勲(さいくん) 胡班(ごはん) 秦慶童(しんけいどう)
夏侯徳(かこうとく) 慕容烈(ぼようれつ) 孔秀(こうしゅう)
韓徳(かんとく) 夏侯傑(かこうけつ) 鮑隆(ほうりゅう)
苟安(じゅんあん) 顎煥(がくかん)荀正(じゅんせい)
陳応(ちんおう)
三国志ライターたまっこの独り言
『三国志演義』を読んでいても、実在人物と架空人物が全く違和感なく、ストーリーの中で生き生きとしているのが、この小説のすごいところ。実在の仙人と架空の仙人というのが、ちょっとよくわからないけど……。
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