関羽(かんう)ばかりか、張飛(ちょうひ)まで失った劉備(りゅうび)は、
もう躊躇する事はありません。軍を興す号令を発して70万という大軍を集めました。
その中には、父の弔い合戦とばかりに、関羽の息子、関興(かんこう)と
張飛の息子張苞(ちょうほう)も含まれていました。
前回記事:111話:関羽と張飛の死に劉備は仇討ちの決意を固める
張飛の首を呉に、降伏してきた二人に孫権は慌てる
一方、張飛を討った、張達(ちょうたつ)と范彊(はんきょう)は、
首を持って呉に降伏してきました。それを知った孫権(そんけん)は慌てます。
「まずい事をしてくれた、これでは劉備は、余が張飛の首まで
討たせたと思うに違いない、誤解を解かねばならぬ」
すでに、70万の大軍が呉に向かうと聞いた孫権は狼狽して、
諸葛瑾(しょかつきん)を使者にして、蜀に派遣します。
いくら怒っている劉備でも孔明の兄なら殺しはするまいという判断です。
諸葛瑾は劉備の説得を試みるが...
諸葛瑾は、流石に孔明の兄だけあり、怯えた様子も見せず、
蜀に向かうと、劉備に謁見しました。
劉備の顔には怒りがありありと浮かんでいますが、孔明の兄である
諸葛瑾の来訪でもあり、怒りを堪えています。
「呂蒙(りょもう)将軍は、呉候の命令を無視し、
勝手に兵を動かし、関将軍を斬ってしまいました。
呉候は、その事を大変に悔やんでおります。
しかし、今や、その呂蒙も病で亡くなりました。
勝手な事をしたのですから当然の報いというべきでしょう。
ですから、過去の事は水に流し、いたずらに呉を敵視せず
逆賊曹丕(そうひ)を討つ為に我らは再び手を結ぶべきではありませんか」
劉備は、黙って聞いていましたが、顔から怒りが消える事はありません。
「我が弟、関羽の仇討ちは、すべてに優先する・・
他の人間なら、この場で首をねじ切ってやる所だが、
そなたは丞相の兄、命だけは助けてやろう。
帰って孫権に伝えるがよい、首を洗って待っていろとな!!」
諸葛瑾は、再度、考え直すように促しますが、
劉備は、もう引っ込んでしまい出てきませんでした。
(大変な事になった・・もう引き返せまい)
諸葛瑾は、呉に帰り、劉備の言った一部始終を孫権に話します。
孫権は魏と組んで蜀に対抗しようとするが...
孫権は、大きくうろたえて、今度は魏と組んで、蜀に対抗しようとしました。
曹丕は、孫権の手紙を受け取り、共同戦線を承諾しますが、
結局、兵力は出さずに事態を見守る構えを取ります。
当然でしょう、どっちかが倒れてから、兵を出して、
その領土を取り込んだ方が、得だからです。
孫権は止むなく、呉一国で蜀を迎え撃つ準備をします。
この蜀と呉が激突した夷陵の戦いは、長い間
呉と蜀の間に拭えない感情的なしこりを残す事になります。
そして、ここが、蜀帝、劉備の最期の戦場にもなるのです。
今日も三国志の話題をご馳走様でした。
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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。