101話:曹操魏王に、そして劉備は漢中奪回を目指す

2015年7月9日


魏王

 

合肥(がっぴ)城で張遼(ちょうりょう)に破れた孫権(そんけん)は、

復讐を誓い、今度は水軍と陸軍を駆使して、再び合肥城に侵攻しました。

 

しかし、その頃には、曹操(そうそう)率いる魏軍40万人が合肥に戻ってきていました。

 

前回記事:100話:奮戦する張遼、孫権を二度も追い詰める

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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呉は已む得なく魏と和睦

 

両軍は睨みあったまま、決定打を欠き、孫権は和睦を提案し、毎年、

呉が魏に決まった量の貢物を納める事で合意して兵を引きあげました。

 



西暦216年 曹操は魏王に即位

現実主義曹操

 

曹操は、合肥から帰還した翌年の西暦216年についに魏王に即位します。

この魏王即位により、緩んだ組織の基盤を固めようという考えでしたが、

それに反対する重臣も出ました。

 

曹操は、これに容赦せずかつての荀彧(じゅんいく)荀攸(じゅんゆう)

ように反対者に死を与えています。

 

翌年、呉において、蜀呉同盟の提唱者だった魯粛(ろしゅく)が死去しました。

 

それにより呉の総司令官には呂蒙(りょもう)が就きますが、

対蜀強硬派の呂蒙の行動はこの後、劉備に大きな悲劇をもたらす事になります。

 

さて、劉備(りゅうび)は、法正(ほうせい)の助言を入れてここで漢中の奪還を決意します。

 

どうして劉備は漢中にこだわるのか?

劉備玄徳が眩しい理由 三国志

どうして、劉備が漢中を重視するのかと言うと、この漢中が、

長安に繋がる重要な通路になっていたからです。

 

ここを魏に抑えられると、蜀は危険で狭い通路を通り長安に出なければ

いけなくなるので、漢王朝再興を願う劉備は、

どうしても漢中を抑える必要があったのです。

 

それに漢中とは、劉備の先祖の劉邦(りゅうほう)が最初に

王に封じられた土地であり、漢王朝の原点ともいうべき場所でした。

 

曹操にとっては重要でなくても、劉備にとっては、漢中を抑える事は

測り知れない意味を持っていたのでした。

 

劉備軍動き出し曹操も応対をする

劉備軍 曹操軍

劉備は手始めに張飛(ちょうひ)馬超(ばちょう)を下辦(かべん)に派遣します。

 

それを知った曹操は自ら出陣しようとしますが、

占い師の管輅(かんろ)が「今は動かない方がいい」と忠告します。

 

そこで曹操は、曹洪(そうこう)に5万の軍勢を与えて下辦に向かって進軍させました。

そして、それに加えて夏候淵(かこうえん)と張郃(ちょうこう)を派遣しました。

 

張郃は何で曹操軍にいるの?

 

張郃はかつては袁紹(えんしょう)の配下で猛将として鳴らしましたが、

官渡の戦いで袁紹が敗北すると、曹操に降っていたのです。

 

馬超は、この時に下辦に居ましたが偵察隊の呉蘭(ごらん)が運悪く曹洪に出くわします。

しかし、多勢に無勢ですから勝負にならず、大敗して下辦に逃げ戻りました。

 

馬超 対 曹洪

馬超仲間入り

馬超は打ってでようかとも思いましたが、与えられた1万の兵力では、

曹洪の5万の兵力には対応できないと思い城に籠って、成都の劉備に報告し

その指示を待って動かないで待ちました。

 

ところが、曹洪も、馬超の陣営が静まり返っているので、

何か計略があるのでは?と考えて独断で兵を引いてしまいました。

 

この事で引き返した曹洪を、漢中に控えていた張郃は笑います。

 

張郃:「なんと腰抜けな事か! 動かない敵を恐れて逃げ帰るとは!」

 

曹洪が言い返せずに黙っていると、張郃は、、

 

張郃:「まあいい、ワシが戦というものの手本をお見せしよう、

張飛くらいなら、簡単に討ち取ってみせる」

 

と大言を吐くと、今度は自分が下辦に向かって進軍しました。

 

こうして、漢中の戦いは、馬超対曹洪から、

張飛対張郃へ主役が移っていく事になります。

 

次回記事:102話:成長した張飛、計略で張郃を撃ち破る

 

 

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kawauso

kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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