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105話:曹操軍20万vs蜀の歴代最強メンバー【漢中争奪戦】

2015年7月11日


黄忠VS夏侯淵

 

黄忠(こうちゅう)は、敵将夏候淵(かこうえん)を討った勢いを駆って、

そのまま漢中の郡都である南鄭(なんてい)を占領してしまいます。

 

操(そうそう)は、激怒し20万の大軍を率いて、険しい山地を超えて、

三度目の漢中へと陣を進めていきました。

 

前回記事:104話:黄忠vs夏侯淵|定軍山の戦い

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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曹操軍が疲れていた、その理由とは?

曹操 船酔い

しかし、平地とはわけが違う山地の進軍、曹操軍は戦争の前の段階で

疲れ果ててしまいます。

 

そうでなくても、ここ数年、合肥(がっぴ)攻防戦や漢中攻略で

戦争続き、曹操軍には、明らかに嫌戦気分が蔓延していました。

 

それでも何とか、曹操軍は斜谷道から漢中に入り陽平関に陣を敷きます。

 

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劉備軍はベストメンバーが揃っていたが無理をせず持久戦

劉備 ゆるキャラ

 

劉備軍は、既に曹操に備えて完全な防備を備えていて、

趙雲(ちょううん)、黄忠(こうちゅう)、魏延(ぎえん)、

張飛(ちょうひ)馬超(ばちょう)法正(ほうせい)孔明(こうめい)

錚々たる人員が揃っていましたが、劉備(りゅうび)は、ここで

一切無理をせず持久戦を選びました。

 

劉備:「大丈夫じゃ、何か今回はワシ、曹操に負ける気がせんのよ♪」

 

劉備は嬉々として、城壁によじのぼると、体を動かしたり

曹操軍を眺めたりして余裕のりゅうちゃんです。

 

曹操軍は、劉備が予想した通りに士気が低く、おまけに、

兵糧を運ぶ事に苦労したので常に食糧不足に悩まされていました。

 

こんな事なら20万の大軍を持ってこなければ良かったのですが、

いまさら、そんな事を言っても始まりません。

 

曹操は劉備を挑発するが...

 

曹操は、何度も劉備を挑発しますが、本拠地を得て、余裕綽々の

劉備は、城壁の上で小躍りしながら、まるで応じないままでした。

 

憎たらしい劉備を眺めながら、曹操は日々の食糧の調達に追われる事になります。

 

魏軍の士気が落ち始め孔明がある提案を出す

孔明VS曹操

 

こうして、魏軍の士気はみるみる落ちていきました。

そして戦闘が始まって、半年も経った頃、孔明は、魏軍の食糧倉庫を

焼き払う計略を提案します。

 

ここで、食糧倉庫を焼かれれば、魏軍は飢餓に陥り、戦争は

蜀軍の大勝利に終わるからです。

 

これに応じたのは、黄忠と趙雲でした、二人は互いに先陣を譲らないので

くじ引きになり、引き当てたのは黄忠でした。

 

趙雲は無念でしたが、黄忠がしくじった時に、

そのリカバリに入るという役割を与えられました。

 

黄忠:「わしゃ、失敗など考えた事は無い、しくじったら、死ぬ時ぞ

そう思って、今まで生きてきたわい」

 

たった500の手勢で食糧庫に斬り込む黄忠を趙雲は心配しますが、

黄忠は、こう言い返して、夜陰に乗じて城を出ます。

黄忠、御年七十過ぎの心意気!カッコイイじゃありませんか。

 

黄忠は500騎を率いて魏の食糧庫を襲う

黄忠の手勢500騎は、首尾よく北山の麓に山と積まれた食糧庫に、

到着しました、長い膠着で警戒が弱っていたのか守備兵は、殆どいません。

 

黄忠:「よし、景気良く焼き払ってやれい!!!」

 

守備兵を蹴散らした黄忠は、配下に命令して食糧に火をつけます。

 

しかし、その黒煙は魏軍を呼び寄せるには充分でした。

異変に気がついた魏軍の徐晃(じょこう)は現場に急行し黄忠を発見します。

 

徐晃:「おのれ、黄忠!夏候淵殿の仇! 逃がしはせぬ!」

 

徐晃は、黄忠に追いすがりますが、ここは漢中、周辺は岩山で曲がりくねり、

中々、黄忠に追いつけません。

 

その頃、趙雲は、麓から煙が上がっているのを確認して黄忠が首尾よく、

作戦を成功させたのを知りますが、そのまま約束の刻限になっても、

黄忠の部隊が帰還して来ません。

 

趙雲は黄忠を心配し捜索

趙雲 子龍

 

趙雲:「もしや、老将軍、敵兵に討たれたのか、、、

なんという事だ、こんな事なら無理にでも私が出れば良かった」

 

そう思うと、出陣前の黄忠の言葉が尚更引っ掛かります。

 

趙雲は、いてもたってもいられず、手勢千騎を率いて、周辺を捜索し始めます。

 

その時、運悪く、趙雲の騎兵千騎は、黄忠を追いまわしていた

徐晃の大軍勢と遭遇してしまいます。

 

徐晃:「趙雲、こんな所で会おうとは、手柄首が、もう一つ増えそうだ」

 

趙雲:「徐晃、、貴様が老将軍を討ったのか、、許せん!!」

 

趙雲vs徐晃

 

趙雲は、馬に鞭を入れて徐晃に突進しました、その貫通力は非常なもので

魏の大軍は、紙のように突破されていきます。

 

徐晃:「くっ!小癪なあっ!!!」

徐晃は、兵を立てなおして、再び趙雲に追いすがります。

 

すると趙雲は、一気に軍を引き返し、砦に向かって逃げ戻ります。

 

徐晃:「口ほどにもない、追えっ!趙雲を殺せっ!!」

 

大軍を擁する徐晃は、逃げる趙雲を追いかけます。

 

ところが、趙雲の砦に辿りついた徐晃は、異様な光景を目にします。

 

砦は城門が開かれ、人っ子一人いないのです、、

 

徐晃:「馬鹿な、、確かに今、趙雲はここに入ったハズ、、

いや、しかし、これは孔明の策かも知れぬ、、

迂闊に突入しては、まずい」

 

徐晃は、進むのを躊躇して、全軍に退却を命令します。

 

その時でした、、、、

 

ジャーン!ジャーン!ジャーン!!

 

退却を開始した魏軍の背後に伏兵が現れ、銅鑼を鳴らし矢を射かけてきたのです。

驚いた徐晃が、前に進むと、砦の門は閉まり、城壁からも矢が飛んできます。

 

徐晃:「おのれ、、趙雲に謀られた!!」

 

徐晃は、何とか軍を立てなおそうとしますが、伏兵に前後を挟まれた魏兵は

何が起きたか分からず混乱して同士討ちを始めます。

 

その混乱に乗じて、趙雲の兵も飛び出し、魏兵を滅茶苦茶に斬り殺します。

 

徐晃:「退けィ!退却、退却―っ!!!」

 

徐晃は、味方を斬り捨てながら、僅かな手勢を率いて脱出します。

たった、千騎の趙雲の軍勢が、1万の徐晃の軍勢を撃破したのです。

 

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黄忠は蜀軍に自力で戻ってきていたが....

 

その頃、敵の戦死者数を確認していた趙雲の元に、黄忠が、

僅かな手勢を率いて戻ってきました。

 

趙雲:「老将軍、生きておられたのですか!」

 

黄忠:「今度ばかりは駄目かと思うたが、、まだ生きておるわ」

 

黄忠は疲労の濃い表情で笑いましたが、これといった傷はありません。

恐るべき老人パワーに趙雲は安堵しました。

 

趙雲が魏軍に与えた損害

 

戦勝の報告を受けた劉備は、急いで趙雲の陣地にやってきて、

そのおびただしい魏兵の戦死者を見て驚きました。

 

劉備:「たった、千騎で曹操の大軍を破るとは、趙雲は全身が肝じゃのう!」

 

劉備は、驚嘆して趙雲の勇気を称えました。

一方の魏軍は、食糧倉庫を焼かれた事で、さらに食糧調達が苦しくなります。

 

曹操は馬超と魏延にフルボッコ

馬超021

それでも、曹操は、それから二カ月頑張り続け、窮地を打開しようとして

劉備と決戦に挑みますが、混戦の中で馬超に蹴散らされ、

さらに魏延の放った矢が、曹操の前歯に命中して歯が欠けるという

九死に一生の体験をします。

 

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曹操、鶏肋(けいろく)と呟く

曹操 鶏肋

 

曹操は、陣地に戻ると、悩みに悩んだ末に、「鶏肋(けいろく)、鶏肋」と呟きます。

 

鶏肋とは、鶏のガラであり、スープのダシとして捨てるには惜しい食材、

しかし、肉がついているわけでもないので強いてまで必要ではない、、

 

曹操は漢中を鶏肋と例えて、自軍に犠牲を強いてまで奪う必要が無い土地

そう考えて、撤退する事を決意したのです。

 

劉備は曹操に圧勝

 

足掛け3年に及んだ、漢中争奪戦は、こうして劉備の圧勝で幕を下ろします。

 

劉備は、曹操が魏王を称したのに対抗して、漢中王を称して即位します。

 

これまで、逆立ちしても曹操に勝てなかった劉備は、こうして、

自力で曹操を追い払い、漢中王の地位に就いたのです。

 

辛い事ばかりの連続だった劉備の人生の絶頂期がここでした。

 

ですが、劉備の輝かしい時は、長くは続きませんでした。

この後、劉備は体を引き裂かれるような悲しい知らせを受けるのです。

 

次回記事:106話:関羽 傲慢すぎて魏と呉の秘密同盟のきっかけに

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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