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もし曹操が赤壁の戦いに勝っていたら劉備軍は馬超の傘下になっていた

2022年4月4日


 

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はじ三倶楽部 スマホの誤変換でイライラする参加者(はてな)

 

予備知識もなく、はじめて三国志(さんごくし)を読む人が、おそらく戸惑うこと。それは「三国志というのに、いろんな英雄が群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)していて、ぜんぜん三国じゃない!」という点ではないでしょうか?

 

そういう方には、「どうか赤壁(せきへき)の戦いまで待ってください!赤壁の戦いが近づくとめちゃくちゃ面白くなりますから!」と言うしかない、と思っています。で、実際、私の観察でも、赤壁の戦いまでたどり着いた人は、だいたいそのまま三国志の熱烈なファンに変わっていく!

 

赤壁の戦い

 

そういう意味で「赤壁の戦い」はまさに三国志の分岐点。

 

赤壁の戦いで敗北する曹操

 

この戦いで、それまで圧倒的に有利だった曹操(そうそう)軍が敗れたからこそ、三国時代全体もドラマチックなのです。かつ、その後の「三国鼎立」も、赤壁の戦いで曹操が大敗した「おかげ」といえますから、この戦いの帰結は歴史にも深く影響しているわけです。

 

赤壁の戦い 曹操

 

そうなのですが、あえて、ふとこんな疑問を持ってみました。「圧倒的に有利だった曹操軍が負けたからドラマチックなわけで、もしあそこで事前予想通りに曹操が勝っていたら、いったい歴史はどうなっていたのだろう?」と。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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もし赤壁の戦いがなかったら、三国志の人気もなかった!

三国志を楽しく語るライターYASHIRO様

 

個人的に、まず間違いなく言えると思うのが、この点。「赤壁の戦いのパートがなければ、三国志の人気もなかった!」それどころか「三国鼎立」状態すら生まれなかったので、「三国志」などという名称の史書も登場し得ない。登場していたとしても、「魏帝国の曹操伝」とかいった、ある王朝の交代劇の史書のみでしょう。

 

そしてその場合、なんと肝心の曹操自身も、中国史の上でそんなに人気のあるキャラクターにはなり得なかったと思われるのです。

 

劉邦と項羽

 

そもそも現代まで人気のある「中国史の物語」というのは、春秋戦国や、項羽(こうう)劉邦(りゅうほう)の物語や、三国志といった、「決着までこじれにこじれた」ハナシばかり。

 

同年小録(書物・書類)

 

きれいに王朝を興した人のハナシなど、教科書には載っても、文学やドラマにはなりません。たとえば現実の中国史でいえば、清王朝を興したヌルハチなどは確実に大偉人といっていい存在のはずですが、「ヌルハチの伝記」なんてものが日本で売られているところを、見たことがありません。

 

炎上する城b(モブ)

 

順調に中国制覇をしてしまった人のハナシほどつまらなく、こじれにこじれた乱世のハナシのほうが大人気。逆説的ながらも、これが真実のようです。

 

行軍する兵士達b(モブ)

 

それを考えると、もし赤壁の戦いで曹操がストレート勝ちしていたら、あの時代そのものがフォーカスされることもない「地味な時代」として、歴史の教科書の片隅に圧縮されていたかもしれません。

 

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つまらなくなるのもそのはず!曹操が赤壁に勝っていたら手に入れた筈のものリスト

月刊人妻を購読する曹操

 

だいいち、赤壁の戦いに勝っていたら、曹操自身は何を手に入れていたのでしょうか?

 

ざっと、以下のような展開になっていたはずです。

孫権(そんけん)を処刑して江東を手に入れる

荊州(けいしゅう)もそのまま保持する

・たぶん劉璋(りゅうしょう)は降伏するので蜀も手中にする

・こうして憂いなく皇帝を名乗ることができる

 

魏王に就任する曹操

 

このように、曹丕(そうひ)の時代を待たず曹操一代で覇業は完成してしまったことでしょう。

 

反対する荀彧

 

ここで考えられる恐ろしい展開が、もうひとつ、あります。史実でも荀彧(じゅんいく)に対する態度にすでに現れていた、「曹操の功臣斬り」ペースが、より早まっていた可能性が高いのです。

 

亡くなる荀彧

 

すなわち、天下統一があっけなく達成できた場合、曹操によって、荀攸(じゅんゆう)程昱(ていいく)司馬懿(しばい)といった能臣の粛清が一気に行われたことでしょう。そうなると、司馬懿による帝位簒奪(さんだつ)も芽のうちに封じられてしまったことでしょう。

 

曹操

 

完全な曹操の勝利物語。おそろしい独裁者が手際よく漢王朝を滅ぼした、という教科書的な事実が残るだけで、取り立てて面白くもない歴史のヒトマクになっていたことでしょう。魏の功臣たちにとっても、曹操の覇業がこじれたのはよいことだったのかもしれないのです!

 

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荀彧特集

 

 

このシナリオで唯一の抵抗勢力となりえるのは西涼の馬超?

ポイント解説をするYASHIRO様

 

だが、これで考察が終わってしまうのも実に面白くない。ここであえて、期待も込めて、「曹操が赤壁で勝っていても、その天下統一をこじらせるシナリオがあるか?」を考えてみましょう。

 

五虎大将軍の馬超

 

ひとつだけ、江東(こうとう)が曹操の手に落ちても、対抗でき得る勢力が残っていることに気づきます。西涼(せいりょう)馬騰(ばとう)馬超(ばちょう)の親子です。

 

オラオラモードで曹操を追い詰める馬超

 

史実でも、赤壁の戦いとは無関係な時期にですが、一度馬超軍は曹操軍と対峙し、そこそこに善戦をしています。馬超側にいまひとつ有能な参謀がいなかったため、調略を仕掛けられて内部崩壊してしまいますが。

 

ですが、もし曹操が赤壁に勝っていたら?

孫権は滅んでも、その部下の中の「反曹操派」、特に魯粛あたりは、決して曹操軍に投降しなかったことでしょう。

 

曹操から逃げ回る劉備

 

また、当然ながら、劉備(りゅうび)関羽(かんう)張飛(ちょうひ)も、赤壁で敗北しても曹操に投降はせず、またしても流浪の身になって脱出することでしょう。そしてここには、諸葛亮(しょかつりょう)龐統(ほうとう)が合流していた可能性もあります。

 

これだけの「反曹操派」の面々が、馬超をラストホープと掲げるべく、西涼に入ったら?

 

蜀馬に乗って戦場を駆け抜ける馬超

 

馬超が劉備の下に入るのではなく、劉備が馬超の下に入る、というシナリオにはなりますが、これだけの有能な人材が集まった「馬超軍」は、かなり強力になり、曹操とも善戦できたかもしれません。

 

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馬超特集

 

 

まとめ:現実的には難しいがちょっと見てみたかった「曹操対馬超の天下分け目の決戦」

曹操を追い詰めた馬超

 

このシナリオの場合、三国鼎立時代は成立しませんが、「曹操という巨大な覇王と、それに最後まで対抗した、馬超という男の物語」という物語が別途成立し、人気を博していたかもしれません。その場合、劉備や関羽や張飛や孔明(こうめい)は、「馬超軍」の中で大活躍をする英雄たちとして描かれていたことでしょう。

 

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if三国志

 

 

三国志ライター YASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

なにより、史実ではどうにもパッとしない消え方をしてしまった馬超が、このシナリオだと中国史をゆさぶる大英雄になる!

 

項羽と劉邦

 

「項羽と劉邦」ならぬ、「曹操と馬超」の天下分け目の物語!

 

さすがにちょっと無理な設定でしょうか?

でも、ちょっと読んでみたい気も致します。

 

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三国志ライフ

 

 

 

 

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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