孟嘗君(もうしょうくん)こと田文(でんぶん)は生まれた直前に父親である田嬰に殺されそうになりますが、
母親の機転によりなんとか殺されずに済みます。
田文は成人してから父と会います。
田文と父の仲は中々良くなりませんでしたが、父から食客の世話を見事に
行い、田文の名声が天下に轟くと、父との仲が回復します。
田文は田嬰の後継ぎに認められ、激動の時代に羽ばたく事になります。
前回記事:孟嘗君(もうしょうくん)とはどんな人?戦国七雄に絶大な影響力を持った戦国四君【青年編】
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この記事の目次
秦の昭襄王(しょうじょうおう)に乞われて秦へ
田文は父の跡を継ぎ薛の領主となります。
さて田文が薛の当主になった頃、斉の西方にある国が彼に目を付けます。
その国は秦です。
キングダムで有名になった秦王政の曽祖父である昭襄王は
田文の名声を聞き、弟を斉へ人質に出し、宰相に迎えようと使者を送ります。
田文は昭襄王の求めに応じ、秦へ行こうとしますが、食客に止められます。
しかし、斉王である湣王(びんおう)が「田文よ。秦に行け」と命令。
田文は斉王の求めに応じて、秦へ向かいます。
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秦の宰相・田文
昭襄王は田文が秦に来てくれた事がよほどうれしかったらしく、
田文を迎える宴会を数日間にわたって開催します。
田文を迎える会が終わった後、正式に秦の宰相として彼を迎え、政治を任せます。
昭襄王は宰相として優れた能力を発揮した田文に大満足。
田文も昭襄王がよろこんでくれた事で、秦をさらに良くしようと
色々な政策を実施します。
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優れた才能が命取りに
田文と昭襄王は互いを信頼し、良きパートナー同士でありました。
しかし田文が斉に帰らなくてはいけない時期が近づいてきます。
秦の群臣らは田文をこのまま斉に帰しては危険だと思い
昭襄王に「斉の田文をこの国から出してはなりません。彼を斉の国に帰せば
後々秦にとって危険になる事は必定です。
秦に居る間に殺してしまいましょう。」
昭襄王は家臣の進言に頷き、田文を殺害する決意を固めます。
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最上級の毛皮のコートを要求
田文は昭襄王によって軟禁されます。
彼は「もしや昭襄王が私を殺そうと企んでいるのか。」
と食客に尋ねます。
食客は「殿の言う通りです。仕入れた情報によると斉に帰さず、
殿を秦の国内で殺害しようと計画しているそうです」と食客から聞きます。
田文はこの状態を打破するため、昭襄王の側室に「私を解放してくれるように
王に頼んでくれないか」と助けを求めます。
彼女は「頼んであげてもいいけど、一つ条件があります。狐白裘(こはくきゅう)をくれたら
お願いしてあげる。」と条件を突きつけます。
狐白裘とは狐のわきの下の白い毛を集めて作った最高級のコートです。
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狗盗(くとう=こそどろ)に助けられる
田文は昭襄王にこの毛皮のコートを献上してしまったため、手元にありませんでした。
ここで意外な才能を持った食客が手を挙げます。
その食客とは狗盗(こそどろ)の才能を持った食客です。
彼は「私が、昭襄王の宝物庫に入って盗んできます。」と告げ、田文の元を去ります。
翌朝彼は狐白裘をもって田文の所に現れます。
田文は食客が盗んできた狐白裘を昭襄王の側室に献上します。
彼女は田文の願いを聞き入れ、昭襄王に田文の釈放を嘆願。
昭襄王は側室の願いを聞き入れ、田文を解き放ちます。
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函谷関を鶏の鳴きまねで開門させる
田文は軟禁状態が解かれるとすぐに食客を連れて出発します。
昭襄王は田文が食客を連れて函谷関へ向かっていると知り、すぐに追手を差し向けます。
田文一行は昭襄王の追手をかわすため、休憩せず帰途を急ぎます。
そのおかげで夜中に秦の国門である函谷関に到着します。
しかし函谷関の扉は閉まっておりました。
函谷関には鶏の声が聞こえるまで門は開けてはいけないとの
決まりごとがありました。
田文は食客に「やばい。このままでは我らは捕まってしまうぞ」と不安を口にします。
すると食客の一人がいきなり鶏の声を真似ます。
すると村の鶏が一斉に鳴き出し、函谷関を守っている守兵は門を開きます。
田文は函谷関が開くとすぐに走りだし、食客の助けにより秦の国から何とか脱出します。
狗盗(こそどろ)の食客と鶏の声真似をした食客、
この二人の活躍は後世「鶏鳴狗盗」と呼ばれる事になります。
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趙の人々に悪口を言われ、町を滅ぼす
田文はそのまま斉へ行くことをせず、趙へ寄り道をします。
彼は趙に着くと休憩を取るため、宿舎を探します。
町を歩く人々が田文を見て「薛の領主である田文様は背が高くて
カッコいいと思っていたが、本物はチビであんまり
カッコよくないじゃないか。」
と人々がささやきあっているのを耳にします。
田文は激怒し食客達に「さて皆の衆。住民を皆殺しにせよ。」
と手を振り号令をかけます。
田文はこの町に住む住民全てを皆殺しにして、趙を立ち去ります。
三国志ライター黒田廉の独り言
さてこうして孟嘗君田文は危機を脱し斉へ帰る事になります。
「鶏鳴狗盗」を題材にして超有名な日本の歌人が歌っております。
その歌人とは清少納言です。
彼女は「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ」と歌います
この歌の意味は私をだまそうとしても、あなたの言葉に騙されませんよ
と言う意味です。
実はこの歌全体に「鶏鳴狗盗」が隠れているのです。
今から解説します。
それは前文の「夜をこめて鳥の空音をはかるとも」の所です。
「夜をこめて」は夜である事を隠してと言う意味です。
そして次の文である「鳥の空音をはかるとも」が鳥の真似をしてもと言う意味です。
そうするとこの歌全体の隠れた意味が出てきます。
「函谷関なら鳥真似して開ける事ができますが、私たちが合う逢坂の関は開く事
はできません」と言う意味になります。
清少納言がこの歌を作った事で平安時代の日本にも、孟嘗君田文の名が伝わる
事になります。
今回のお話はこれでおしまいにゃ。次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃまたにゃ~
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