もし関羽が生き残って北伐に参戦していたら?さしもの司馬懿もうろたえる(かもしれない)蜀漢の最強北伐チームを想像する!


 

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北伐する孔明

 

諸葛亮(しょかつりょう)の北伐は不要なことだった」などと言う人もおりますが、それについてまずはヒトコト。

 

北伐でやりあう曹叡vs孔明

 

現代のような国境のある程度定まった時代ならばともかく、古代中国の食うか食われるかの世界では、「天下統一レースから脱落した国は滅ぼされるか、早めに降伏するかしかない」のが前提と思います。

 

呉の諸将を論破する諸葛亮孔明(セリフなし)

 

そして蜀漢は「漢王朝の復興」という大義名分を抱えていた為、降伏する道は存在しない。いちかばちかでも、最期まで(のちに晋)に挑戦し続ける他ありませんでした。

 

天下三分の計を唱える諸葛亮孔明

 

それに「無茶」と言われる諸葛亮の北伐も、実は目的意識がとても明確でした。魏をいきなり滅亡させることではなく、「長安を取る」こと。長安を占領してしまえば、いっきに蜀漢が「正統の王朝」として天下に号令をかけられる。

 

藤甲兵に地雷火を仕掛けた諸葛亮孔明

 

ここにターゲットを絞った、「蜀の国力すべてを賭けた乾坤一擲(けんこんいってき)の賭け」という意味がありました。そしてなるほど漢中をとっている以上、長安だけを目標とするなら、あと一歩に来ている。では、あと一歩、何が足りなかったのか?

 

青龍偃月刀を持つ関羽

 

「人材難が敗因だった」とは、よく言われます。それならば、たとえば、「もし荊州(けいしゅう)を巡る戦いで関羽(かんう)が死んでおらず、関羽や関平(かんぺい)、周倉らがことごとく北伐の際に投入できる状況だったなら?」とイフ展開を考えてみましょう!

 

すなわち、「北伐の際に関羽が存命だったら、どういう布陣で長安奪取に向かった」のでしょうか?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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そもそ も北伐プランは「三国鼎立論」の必然的結果だった?

三国志の武器 木慢 関羽

 

「関羽さえいれば、もしかしたら長安奪取の可能性はあったのでは?」そう考える根拠が、ひとつあります。諸葛亮孔明による有名な「三国鼎立論(さんごくていりつろん)」自体、別に「中国を魏・呉・蜀で仲良く分けて共存しましょう」という平和的な発想ではなく、最初から「三国鼎立の形をとることで、魏を倒すチャンスを作る」と考えていた周到な戦略だった筈という点です。

 

四輪車に乗る孔明

 

つまり、諸葛亮にとって「三国鼎立状態」を確立することはあくまで戦略の前半であり、「魏・呉・蜀の三国で天下を分けた後で、魏をじりじりと追いつめる」ことが戦略の後半でした。そしてその孔明(こうめい)の戦略において重要なキーワードが、「長安攻略ルートの確保」でした。

 

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関羽

 

 

 

長安奪取のために絶対に必要だったのは漢中だけでなく荊州も!?

魏延と孔明

 

ここでいう長安攻略ルートとは、実際に孔明が採用した「漢中からのルート」だけではありません。

 

挑発する諸葛亮孔明

 

孔明にとって本当に大事だったのは、彼が住んでいた土地でもある荊州からの北上ルート。つまり孔明の真の作戦プランは、「漢中と荊州の双方から軍を北上させ、長安を挟撃(きょうげき)すること」でした。

 

考える諸葛亮孔明

 

そしてその際には、荊州出発隊の指揮は関羽に任せる想定だったのでしょう。長安奪取というポイントに絞った精密なプラン。これが諸葛亮の深謀(しんぼう)だったとなると、史実において、呉に荊州を取られた上に関羽を殺されてしまったことは、諸葛亮の大戦略を根本から崩壊させてしまった衝撃だったわけです。

 

孔明

 

「なんという余計なことをしてくれたんだ孫権(そんけん)!」というのが諸葛亮の本音だったことでしょう。

 

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北伐の真実に迫る

北伐

 

 

関羽が生きていた場合の北伐チームを想像してみた!

関羽

 

では、もし関羽が生きていたら、北伐はどういう形になっていたか?

 

男気溢れる趙雲

 

まず本隊にあたる漢中出発隊。こちらは史実の北伐部隊とあまり変わらず、諸葛亮、趙雲(ちょううん)馬謖(ばしょく)あたりがメインの指揮官でしょう。

 

弓の名人・黄忠

 

ただし、関羽が死ななかった世界では、夷陵(いりょう)の戦いもなかったはずであり、夷陵の戦いがなかったとすると、黄忠(こうちゅう)が存命だった可能性があります!

 

馬謖

 

馬謖の経験不足も、趙雲と黄忠という大ベテランが二人ついていれば、うまく補い、安定したのではないでしょうか?

 

周倉

 

いっぽう、荊州出発隊は、関羽一族と周倉(しゅうそう)廖化(りょうか)王甫(おうほ)といったところが名を連ねます。

 

馬良

 

馬良(ばりょう)との縁から、もしかしたら馬謖はこちらのチームに回ったかもしれませんが、荊州チーム側もベテラン揃いであり、馬謖を余裕をもって良い人材に育てられたことでしょう。

 

燃え尽き症候群の馬超

 

「しかし、これをやってしまうと荊州がガラアキになり、けっきょく孫権に虚をつかれるのでは?」という不安がありますが、ここについては、既に病に倒れている馬超(ばちょう)がギリギリ間に合うはず。

 

五虎大将軍の馬超

 

病気だということを隠して、馬超を荊州に入れておけば、そのネームバリューのインパクトで孫権もうかつには攻めてこないでしょう。この布陣が完成していれば、蜀にも勝ち目が多少は出てきていたはずです。

 

 

というのも、このような「二大チームによる挟撃」をかければ、当時の魏における最大のオオモノであるところの司馬懿(しばい)も、どちらか片方と戦い、もう一方を無視せざるを得なくなるからです!

 

司馬懿

 

もし司馬懿が諸葛亮軍と対陣すれば、関羽軍に当たる人材が問題となります。司馬懿が関羽軍の抑えに入れば、諸葛亮軍を誰か別の人材に任せなければいけません。

 

しかしそんな人材が司馬懿本人以外にいるか?

これにはさしもの司馬懿も頭を悩ませるハズ!

 

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馬超特集

 

 

まとめ:それでも強力な司馬懿を倒すには、もう一人、生きていてほしい男がいる!

司馬懿

 

ただし、さるものの司馬懿。もしこうなったら、慌てることなく、まずは全力で関羽軍を潰し、そのあと超スピードで漢中側に戻って、孔明との決戦に持ち込むという思い切った戦略を採用してくるかもしれません。

 

司馬懿

 

その場合は、司馬懿VS関羽の対決が北伐第一ラウンドとなり、ここでいかに関羽が司馬懿を引きつけ時間を稼げるかが、蜀の運命を決します。ですが、うーん、そうなると、関羽軍にも司馬懿と対抗できる軍師タイプの人材がもう一人は欲しい!

 

ポイント解説をするYASHIRO様

 

ここでいい男を思い出しました!

 

的盧に乗る龐統

 

北伐が成功するためには関羽が生き残っているだけではなく、かの「臥龍鳳雛(がりょうほうすう)」の一角、龐統(ほうとう)が生き残っていてほしい!

 

策略が得意な龐統

 

つまり、北伐の第一ラウンドを、司馬懿VS関羽のガチンコではなく、司馬懿VS関羽と龐統のタッグとする!

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

これだけの準備があれば、北伐もかなりいい線にいけたのではないかと思うのですが、いかがでしょう?

 

龐統と孔明を手に入れた劉備

 

「関羽も生きていて、さらに龐統も生きていれば」となると相当贅沢な「イフ」ですが、そんな蜀漢の最強布陣、見てみたかった!

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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