桃園三兄弟の劉備(りゅうび)には的盧(てきろ)、関羽(かんう)には
赤兎馬(せきとば)がいますが、では張飛(ちょうひ)の愛馬は何だったのでしょうか?
「張飛の馬に名前なんてあるの?」それが、ちゃんとあるのです。
今回は知られざる張飛の愛馬について書いてみます。
関連記事:衝撃の事実!赤兎馬の子孫が判明!?
この記事の目次
あんなに派手なのに馬の記述がない張飛
三国志では、義兄の関羽に次いで活躍のシーンが多い張飛ですが、
その得物が蛇矛(じゃぼう)という以外には、不思議に装備品についての
言及がありません、特に愛馬に関しては、全くなく不思議なくらいです。
張飛と言えば、長坂橋の仁王立ちがありますが、その時に張飛の体重を
支えていた愛馬の名前は何というのでしょうか?
関連記事:華麗なる中華世界を彩る三国志の武器
関連記事:嫪毐(ろうあい)ってどんな人?男のウェポンで天下に名をとどろかせる
北宋時代の太平寰宇記(たいへい・かんうき)に張飛の愛馬の記述が・・
張飛の愛馬に関しての記述は、三国志の時代から
800年程後に編まれた太平寰宇記という本に記述があります。
寰宇記:張飛有馬名玉追,時歌曰:「人中有張飛,馬中有玉追。」
意味を書きますと張飛に馬あり、名前を玉追(ぎょくつい)と言う、
当時の人は言った、「人中に張飛あり、馬中に玉追ありと・・」
あれ?何かどこかで聞いたような、、まあいいや、とにかくこれにより、
張飛にも愛馬がいて、その名前は玉追、名馬中の名馬だった。
そういう事になるわけですね。
関連記事:劉備と呂布を仲たがいさせよ!駆虎呑狼の計
関連記事:劉備と呂布を仲たがいさせよ!二虎競食の計
張飛の馬、玉追の色は黒だったのか?白だったのか?
では、張飛の愛馬は、どのような姿をしていたのでしょうか?
赤兎馬なら全身は赤いイメージですし、的盧は凶馬であるとして、
その額の斑点から4本足の白までが描写されています。
ところが、玉追については、その身体的な特徴はおろか、
色でさえ、明確にされてはいないのです。
関連記事:的盧は名馬なの?凶馬なの?劉備と龐統(ホウ統)の死
関連記事:劉備入蜀の立役者、龐統の全戦歴
張飛の廟は江夏にあり、そこは白馬廟というので白!
前述の太平寰宇記には、張飛の霊廟は江夏(こうか)にあり、
そこは白馬廟と呼ばれていたという記述があります。
白馬廟というからには、張飛の愛馬は白馬だったという事になります。
でも、張飛が白馬ぁ?公孫瓚でもないのに・・
そして、どうして張飛と縁もゆかりもない江夏に廟があるのか?
まあ、玉追が白馬だとすると赤兎馬と並ぶと赤白で縁起がいい感じです。
ところが三国志演義では・・
しかし、白馬かと納得するにはまだ早いです。
三国志演義の第63回には、このような描写が・・
厳顔猛回頭看時、為首一員大将、豹頭環眼、
燕頷虎鬚、使丈八矛、騎深烏馬、乃是張飛。
意訳:厳顔(げんがん)が振り向いてみると、そこには1人の大将がいた。
顔は豹のようで目はドングリのように丸く、燕のような鋭い顎
顔には虎ヒゲを生やし八丈の蛇矛を構え深く黒馬に跨っている。
それが張飛である。
原文には、烏馬(うば)とありますが、これは烏(カラス)の色という事で、
黒馬という事になります。
黒は京劇などでは、張飛のパーソナルカラーになっています。
例えば、関羽も赤兎馬に合わせて顔は赤ら顔になっていますよね?
この理屈でいくと、張飛の愛馬、玉追は黒馬という事になります。
関連記事:張飛の大手柄 蜀将の厳顔を味方にする
関連記事:馬超と張飛の一騎打ち
張飛の愛馬の名前は後世の創作・・
もっとも、張飛の愛馬に関する資料は同時代のものがないので、
恐らくは、記録のある呂布や関羽、劉備に近づけようとして、
後世の人がキャラクター設定をした創作であろうと思われます。
それでも、演義であれだけ大活躍した張飛ですから、
その愛馬の名前が分かっただけでもよしとしたいです(胸熱)
関連記事:三国志平話って何?三国志演義の元ネタ
関連記事:三国志演義に登場する兵器
三国志ライターkawausoのヒヒ―ンごと
よくよく考えてみると、あれだけ大勢の武将が入り乱れる三国志演義で、
ちゃんと、武器や愛馬の名前がはっきり分かっている人って、
かなり少ないですよね・・
そう考えると、三国武将をビジュアル化する人は苦労するんだろうなあ
と人ごとながら考えてしまいました。
関連記事:kawausoって、何者?
関連記事:夏候夫人|張飛の妻は、夏候淵の姪だった?
関連記事:策士・張飛 (ちょうひ)が繰り出す瞞天過海の計&暗渡陳倉計ってどんな計略?
こちらの記事もよく読まれています
よく読まれてる記事:張飛(ちょうひ)は本当は知将だった?
よく読まれてる記事:まるで蒟蒻問答?(こんにゃくもんどう) 孔明と張飛の知恵くらべ
よく読まれてる記事:張飛に怒鳴られて落馬して死んだ武将、曹丕の粋な計らい等、三国志を彩る変わった武将たち
この記事を書いた人:kawauso
■自己紹介:
どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。