三国志演義には、正史の三国志に登場しない架空の人物がおおぜいいます。関羽(かんう)の頼れるお供の周倉(しゅうそう)のように有名な人物から、裴緒(はいしょ)のように、「誰だっけ?」という人まで。本日は架空キャラコレクション。
この記事の目次
お話の中で目立つ活躍をしている架空キャラ
【周倉:しゅうそう】関羽(かんう)の頼れる片腕として、関帝廟(かんていびょう)に像が立つほどの存在感がありますが、架空の人物です。
【貂蝉:ちょうせん】呂布(りょふ)をハニートラップにはめて、董卓(とうたく)を殺すように仕向けた美女。正史には、呂布が董卓の侍女と密通していたという記述がありますが、その侍女がモデルとなって、固有名詞が与えられお話が膨らまされました。
【関索:かんさく】関羽の三男という設定で、「南蛮遠征」のお話の中で突然登場して忽然と消えます。これ、民間で人気のあったお話「花関索伝」の主人公を無理矢理三国志演義にねじこんだようです。詳しくはこちらの記事をご覧下さい↓
ちょっと気の毒キャラ、とてもエグいキャラ
【裴元紹:はいげんしょう】周倉と一緒に関羽の配下になろうとしましたが、関羽は周倉だけを連れて行き、裴元紹は迎えが来るまで待つことになりました。その後、たまたま通りかかった趙雲(ちょううん)の馬を盗もうとして趙雲に殺されました。
【王垢:おうこう】曹操(そうそう)軍の兵糧が不足した時、兵糧の配給の量をはかる枡を小さくして兵糧の枯渇を先延ばしにする策を曹操に献策して採用されましたが、枡を小さくされていることに気付いた兵士たちが怒ると、曹操は王垢が兵糧を横領していたことにして彼一人を悪者にして処刑しました。王垢のモデルは正史三国志の注釈に引かれている『曹瞞伝(そうまんでん)』にありますが、名前は出ていません。
【劉安:りゅうあん】敗走中の劉備(りゅうび)が一晩泊めてほしいと言ってきた時、おもてなしする食材がなかったので自分の奥さんを殺して(!)その肉でもてなしました。これ、架空キャラでよかった~!彼の過激なおもてなしについてはこちらの記事をご覧下さい↓
関羽千里行(かんうせんりこう)を彩る人たち
劉備の安否が不明で曹操(そうそう)の元に身を寄せていた関羽が、劉備の無事を知って劉備のもとへ帰ろうとした関羽千里行。通行証をもらえないまま出発したため道中は大混乱。下記の人物のうち、胡班(こはん)は関羽を助ける役ですが、他の人たちは関羽を止めようとしてひどい目に遭う役です。
胡班(こはん)、卞喜(べんき)、王植(おうしょく)、孟坦(もうたん)、
韓福(かんふく)、孔秀(こうしゅう)
関連記事:周倉(しゅうそう)と関羽はどんな関係だったの?三国志の上司と部下事情
戦いの激しさや将軍の強さを示すための斬られ役
【趙雲(ちょううん)に殺された人】
韓徳(かんとく)、韓瑛(かんえい)、韓瑤(かんよう)、韓瓊(かんけい)、
韓琪(かんき)、晏明(あんめい)、慕容烈(ぼようれつ)、鮑隆(ほうりゅう)、
陳応(ちんおう)、夏侯恩(かこうおん)
【関羽に殺された人】
荀正(じゅんせい)、夏侯存(かこうそん)、程遠志(ていえんし)、楊齢(ようれい)この他に、先の段落で挙げた関羽千里行の犠牲者もいます。
【呂布(りょふ)に殺された人】
方悦(ほうえつ)、武安国(ぶあんこく)、穆順(ぼくじゅん)
【華雄(かゆう)に殺された人】
潘鳳(はんほう)、兪渉(ゆしょう)
【張飛(ちょうひ)に殺された人】
夏侯傑(かこうけつ)、鄧茂(とうも)
【その他の人物に殺された人】
カッコの中には氏名の読み方と、矢印のあとに誰に殺されたかを書きます
賈華(かか。←李典(りてん))
戈定(かてい。←張遼(ちょうりょう))
鍾進(しょうしん。←龐徳(ほうとく))
崔勇(さいゆう。←徐晃(じょこう))
陳横(ちんおう。←蒋欽(しょうきん))
張普(ちょうふ。←朱桓(しゅかん))
崔禹(さいう。←劉備)
夏侯徳(かこうとく。←厳顔(げんがん))
岑威(しんい。←王平(おうへい))
譚雄(たんゆう。←関興(かんこう))、
秦良(しんりょう。←寥化(りょうか))
蜀(しょく)の南蛮遠征や羌族(きょうぞく)との戦いなどに出てくるファンタジー武将等
【南蛮のファンタジー武将等】
帯来洞主(たいらいどうしゅ)、顎煥(がくかん)、楊鋒(ようほう)、
董荼那(とうとな)、金環三結(きんかんさんけつ)、木鹿大王(ぼくろくだいおう)、
兀突骨(ごつとつこつ)、祝融夫人(しゅくゆうふじん。真・三國無双8ではローラに似てる)、
孟優(もうゆう)、阿会喃(あかいなん)、朶思大王(だしだいおう)、
忙牙長(ぼうがちょう)、孟節(もうせつ)
【羌族のファンタジー武将等】
徹里吉(てつりきつ)、雅丹(がたん)、越吉(えつきつ)
その他の架空キャラ
それぞれドラマのあるキャラですが、ここでは名前を挙げるにとどめます。
穆順②(ぼくじゅん)、鞏志(きょうし)、邢道栄(けいどうえい)、
楊松(ようしょう)、蔡和(さいか)、蔡中(さいちゅう)、蔡勲(さいくん)、
李珪(りけい)、宗宝(そうほう)、黄奎(こうけい)、苗沢(びょうたく)、
李春香(りしゅんこう)、趙岑(ちょうしん)、鮑忠(ほうちゅう)、
鄭文(ていぶん)、紫虚上人(しきょしょうにん)、周善(しゅうぜん)、
龔景(きょうけい)、徐康(じょこう)、秦慶童(しんけいどう)、
苟安(こうあん)、厳政(げんせい)、盧遜(ろそん)、裴緒(はいしょ)
三国志ライター よかミカンの独り言
四つ目の項目「戦いの激しさや将軍の強さを示すための斬られ役」を書いている時に、私の頭の中では欧米の戦争映画でちょくちょく聞く葬送ラッパの音が鳴り響いてました。架空とは言え、武将の強さや戦いの激しさを表現するためにこんなに大勢の人を葬っているんですね。一将功成りて万骨枯るの感があります。
趙雲にいたっては十人もの架空キャラを倒しています。三国志の物語化の過程で、趙雲をかっこよくするために語り手がなりふり構わず架空武将を作り出しては倒させて武功を重ねさせたのでしょう。どうりで趙雲がスーパーマンになるわけです。(私も趙雲は好きです。ただ、理想化するためにそこまでやったのか、という感想)
架空キャラの中では、私は盧遜(ろそん)が好きです。鍾会(しょうかい)が蜀を攻めている時に、連弩(れんど)を使って鍾会に一矢報いた(十矢?)蜀の武将です。今回挙げた以外にも、まだまだ架空キャラがいるかもしれません。発見したらぜひ教えてください!
※冒頭に書いた裴緒は、蜀(しょく)の第一次北伐の時に天水太守(てんすいたいしゅ)馬遵(ばじゅん)に偽手紙を届けに行って姜維(きょうい)に見破られた人です。(正確には魏の武将裴緒を名乗った無名の人物)
関連記事:【保存版】関羽が生涯に斬った主な敵将一覧
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