西暦222年、劉備玄徳(りゅうび・げんとく)は、
63年の波乱に満ちた生涯を閉じました。
遺言を受け取った、諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい)は、
ただちに劉備の棺を守って、成都に帰還、劉禅(りゅうぜん)を
2代皇帝として即位させます。
ここに三国志を彩った群雄達の多くが消え、時代は新しい段階へと
差し掛かっていく事になります。
前回記事:116話:劉備、失意の中白帝城に没す!
この記事の目次
直ちに劉禅を皇位に就けた孔明の思惑
孔明は、劉備の死後、数日も置かずに、劉禅を即位させました。
これは、蜀が劉備の血統を継ぐ人間により支配されるという
前例を作るとともに、皇位を狙おうという人間を出させない効果を産みます。
また、孔明自身がグズグズしていた場合、
「もしや孔明まで帝位を狙う気があるからグズグズしているのか?」
と周辺に疑われるのを回避する狙いもありました。
孔明の処置は素早く、劉備という偉大な星が落ちた蜀は、
纏まりを崩さないでいる事が出来ました。
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今こそ、蜀を滅ぼす好機、司馬懿登場
劉備が崩御した知らせは、すぐに魏に届きました曹丕(そうひ)は大いに喜びます。
曹丕「先帝にとって、目の上のコブだった忌々しい劉備が死んだ。
これで何の心配もない、ただちに兵を出して、蜀を滅ぼさん」
しかし、軍師の賈詡(かく)は、早急な蜀討伐に反対を唱えます。
賈詡「恐れながら、このような窮地だからこそ、孔明めは奇策を弄し
我が軍を嵌めるつもりかも知れません、出兵は暫くお控え下さい」
ところが、賈詡とは反対に、出兵に賛成する人間がいました。
それが、後に孔明最大のライバルになる司馬懿仲達(しば・い・ちゅうたつ)です。
司馬懿「それほどに孔明を恐れる必要はありません。
劉備が死んで、蜀が気落ちしている今が絶好の好機です。
五方面から大軍を持って攻めれば、いかに孔明とて何もできません」
曹丕は、学友でもある司馬懿の意見に頷きます。
曹丕「して、仲達、その五方面とは?」
司馬懿は、以下の作戦を立てます。
①遼東の鮮卑、軻比能(かびのう)に10万の大軍で西平関を襲わせる。
②南蛮の孟獲に10万の兵を出させて、益州4郡を襲わせる。
③呉の孫権(そんけん)にも10万の兵を出させる。
④関羽の死後に寝返った孟達(もうたつ)に漢中を攻めさせる。
⑤曹真(そうしん)大将軍に10万の兵で蜀を攻めさせる。
曹丕は司馬懿の完璧なプランに満足し、賈詡の助言は無視して
準備に取り掛かるように司馬懿に命じます。
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ところが、どっこい、準備を終えていた孔明
蜀の大ピンチと思いきや、孔明はこうなる事を予想して、
すでに手を打ってありました。
西平関には馬超(ばちょう)を派遣してこれを防ぎ、
益州には魏延(ぎえん)を派遣して孟獲(もうかく)に睨みを利かせ、
孟達に対しては戦上手の李厳を当て、
そして、呉に対しては、鄧芝(とうし)を使者にして派遣します。
鄧芝、孫権の恫喝にも怯える様子なく大任を果たす
孫権は曹丕の援軍要請に応ずるといいながら兵を出さずに様子を見ていました。
孫権には、このまま、蜀が滅んだら、次は呉かもしれないという
大きな不安があったのです。
孫権は、蜀の使者、鄧芝に対しても、わざと会わなかったり恫喝したりして、
孔明の本気度を計っていましたが、鄧芝は、それにも屈せずに
正論を吐いたので孫権は、大いに鄧芝を気に入ります。
そして、呉からは張温(ちょうおん)を蜀に派遣して、
長い間、こじれていた呉蜀の同盟が復活したのです。
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曹丕、激怒して30万で蜀を攻めるも大敗
曹丕は、頼みにしていた、異民族が少しも動かず、おまけに
蜀と呉の同盟が復活したと聴いて激怒します。
そして、家臣が止めるのも聞かずに、30万の大軍で、
蜀を攻めようとしますが、途中で呉の徐盛(じょせい)に邪魔されます。
「これ位、ひねりつぶしてやる」と息巻いたのも束の間
趙雲が、曹丕不在の隙を突いて、長安に進撃したという情報を受け取ります。
これに慌てた曹丕は軍を引き返しますが急ぎ過ぎて、
呉に背後を取られ散々に打ち破られて、大敗を喫してしまいます。
曹丕は、張遼(ちょうりょう)や、徐晃(じょこう)に守られながら、
僅かな兵力で許昌に帰還。
こうして、司馬懿と孔明の最初の対決は、孔明の作戦勝ちになります。
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